出勤を拒否する従業員に対する正しい対応手順
1.説得の機会を持つ
説得の機会を持つ、ということは非常に重要です。会社として出社できる環境を整えた、ということを説明し、従業員の理解を得る努力をすることが必要になります。ここで注意が必要なのは、有給休暇を消化した後は無給にすることが適切、ということです。
有給休暇を消化した後も従業員が出社拒否をする場合、その後も給与を支払っていると、なかなか問題が解決できない原因になります。
そのため、有給休暇を消化し終わった後は無給にすることが、会社と従業員の正しい関係を作るうえでも重要です。
2.説得に応じない場合は明確に出社命令を出す
説得に応じない場合は明確に出社命令を出す、ということも重要になります。この命令は口頭での指示ではなく、文書やメールで命令を出し、記録を残すことが大切です。
3. 懲戒処分をしても出社に応じない場合は退職勧奨を検討
出社命令に従わないときは懲戒処分を検討します。まずは、戒告やけん責といった軽い懲戒処分によって、反省と態度の改善を求める、ということが必要になります。
いきなり解雇などの重い懲戒処分をすることは、ほとんどの裁判例でも無効とされていますので、注意が必要です。
4. 懲戒処分をしても出社に応じない場合は退職勧奨を検討
懲戒処分をしても出社に応じない際には、退職勧奨を検討することが必要です。いきなり解雇するのではなく、合意による退職を目指して説得し、退職勧奨によって解決を目指す、ということが大切になります。
5. やむを得ない場合は解雇を検討
退職勧奨にも応じず、ほかに手段がないときに初めて解雇を検討する、という流れになります。
出社を拒否する従業員への対応のまとめ
ここまで4つのパターンの出社拒否への対応を解説してきました。
1つ目は体調不良を理由とする出社拒否の場合、2つ目は復職をきっかけとするトラブルに関連して出社を拒否する場合、3つ目はハラスメントの主張によって出社を拒否する場合、そして4つ目は新型コロナウイルス感染症など、感染症のリスクを理由に出社を拒否する場合です。
いずれも、出社拒否しているからといって一方的に解雇すればいいという問題ではなく、まずは会社として必要な配慮ができているかどうか、それを確認する必要があります。
そのうえで従業員さんに説明・説得して出社に応じるように求める、ということが必要ですし、それでも説得に応じない場合は解雇するのではなく、退職勧奨によって合意による解決を図ろうとする、ということが大切です。
■動画でわかる「出社拒否」する従業員への対応方法
西川 暢春
弁護士法人 咲くやこの花法律事務所
代表弁護士