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孫娘に「全財産」をのこしたい高齢男性の想い
当事務所では、「相続・遺言セミナー」を開催しており、参加者のなかに、高齢の男性(A夫)がいました。
セミナー終了後にA夫さんからお話をうかがったところ、妻と4人いた子どものうち2人(長女と次男)に先立たれ、現在は、一人暮らしですが、亡・長女の娘(B子)が隣家で暮らしてくれて、身の回りの面倒を見てもらっていたのです。
A夫さんは、足が悪く、スーパーや郵便局などへの送迎のほか、ゴミ出しや戸締まり、食事の世話、洗濯など、身の回りのことをすべてB子さんにやってもらっていました。
A夫さんはB子さんにお礼をしたいと申し出ましたが、B子さんは、「気にしなくていいから」といわれてしまったため、遺言書で財産を残そうと考えたのです。
A夫さんの財産は、自宅不動産と数千万円の預貯金です。推定相続人は、子供である長男と次女、そして亡・長女の娘であるB子さんと、亡・次男の息子の合計4人いました。B子さんの法定相続分は4分の1です。
遺言書を書くにあたりA夫さんには心配なことがありました。それが、亡・次男の息子(C男)の存在です。C男さんは、高校卒業後、職を転々とし、両親が亡くなってからは、A夫さんに度々お金を無心に来ており、今ではすっかり疎遠となっていました。
A夫さんは、「B子さんに財産を多く残したい」と思うほかに、「C男さんには財産をやりたくない」とも考えていました。しかし、もし、遺言書を書いたことがC男さんに知られてしまうと、嫌がらせや脅迫をされるのではないか、と漠然とした不安を抱えており、なかなか遺言書を書くまでに至りませんでした。
また、C男さんには「遺留分」があるため、遺言書を残すことで逆に相続トラブルを発生させてしまうことになるのでは、と不安だったのです。
ところが、セミナーから間もなく、A夫さんは突然、心臓発作で倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまいました。
葬儀終了後、B子さんは、意を決して、C男さんに対し、「相続を放棄してもらえませんか?」と尋ねましたが、C男さんは、「絶対に放棄しない」「もらえるものはすべてもらう」などと激昂し、B子さんは恐ろしくなり、当事務所にご相談にいらっしゃいました。
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