(写真はイメージです/PIXTA)

家族や親戚など身近な人を失った際、悲しみにふけることもままならず相続トラブルに巻き込まれてしまうケースは後を絶ちません。いったいなにが原因なのでしょうか。今回は、アイリス仙台法律事務所の関野純弁護士が実際に経験した、「自宅の名義変更」の手続きを怠ったことが原因で悲惨な末路をたどることとなったAさんの事例をみていきます。

自宅の名義変更を忘れ…Aさんを襲った「悲劇」

ある日弁護士である筆者は、相談者(Aさん)から、「老人ホームに入居したいので自宅を売却したい」という相談をお受けしました。しかし、Aさんの背景について詳しく伺ってみると、なにやら複雑な事情があることが明らかになったのです。

 

Aさんの夫は去年亡くなり、妻であるAさんは悲しみに暮れる日々を送っていました。

 

そんななか、自宅の名義はもちろん亡くなった夫のものであると信じて疑わなかったAさんでしたが、この度登記簿を確認したところ、30年以上前に他界した夫の父(義父)名義であったことが判明。

 

本来は、義父が亡くなった際に、遺産分割をしたうえで夫の名義にしておくべきだったのですが、その手続き(話し合い)を怠っていたことで、Aさんは大変な状況に陥ることになってしまったのです。

 

「相続人調査」で明らかになった驚きの相続人の数 

夫は長らく兄弟との交流を疎遠にしていたこともあり、Aさんは、いま夫の兄弟のうち誰が存命しているかもよくわかっていませんでした。夫の葬儀にも呼べずにいたほどです。

 

そのため、まずは相続人を確定させるために「相続人調査」を行いました。
※ 相続人調査:故人や相続人の戸籍を取得し、相続関係図を作成すること。

 

すると、そもそも義父には前妻がおり、前妻とのあいだに子ども(夫の腹違いの兄弟)がいたこと、また夫の兄弟のうち何人かは亡くなっており、複数の代替わり(数次相続といいます)が発生していたことがわかりました。相続人は、Aさんを含め、総勢で10名を超えていたのです。

 

Aさん(正確にはAさんとその子ども)の相続分は、自宅が義父名義ですから、夫がもともと持っていた相続分になりますので、全体の2割程度に過ぎません。Aさんが自宅を単独取得できるかどうかは、この段階では判断がつきかねます。

 

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