思いを叶える相続を実現するためには
生前に親戚付き合いがなく、疎遠であった相続人は、故人の意思をまったく考慮できず、紛争になるケースは珍しくありません。
故人の意思を実現させるために、「遺言書」という制度が用意されていますが、日本では、「遺言書」を書くことへの心理的ハードルはまだまだ高いといわざるをえません。
そのため、遺言書がない以上、少しでも故人の想いを実現するための方法を考えなければなりません。
今回のケースで、仮にB子さんが「C男さんに1円も払いたくない」と主張をし続ければ、「遺産分割調停」は不調(不成立)となり、裁判所からは、「C男さんに対して、4分の1相当の金銭を支払え」との判断が下されてしまうことになったでしょう。
こうした最悪の結果を避けるために、早期に相当な金銭の支払いを提示することで、相手にとっても、「1年後に取得できる不確実な100%の金額」よりも、早期かつ確実に支払われる80%の金額」が「得である」と思わせることで、早期解決が実現したものです。
相続問題は、経済的な損得以上に感情的な対立が表に出やすく、冷静な話し合いができないケースが多々あります。そして、意地を張り続けた結果、思いを叶える相続を実現できなくなってしまいます。
どこで、折り合いを付けるのか、その判断は、とても難しい作業です。
筆者は多数の相続事件を扱っていますが、ひとつとして同じ事件はないと感じており、一人一人の当事者の思いにいかに寄り添えるかが、相続を扱う弁護士に求められる資質だと感じています。
関野 純
アイリス法律事務所 弁護士
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】