全財産を受け取る「戦略」はうまくいくのか?
今回のケースでは、C男さんと冷静な話し合いをすることは困難であると考え、家庭裁判所に遺産分割調停の申立をするべきと助言し、了解をいただきました。
加えて遺言書がない場合、相手が反対する状況では、法定相続分の大きな修正を争うことは困難であり、調停での「戦略」を練っていく必要があることを説明しました。
その結果、調停では、以下、2点を強く主張することにしました。
ひとつ目は、C男さんがA夫さんに対し、お金を無心していた事実を「特別受益」と主張すること、ふたつ目は、B子さんがA夫さんの身の回りの面倒を献身的に見ていたことを「寄与分」と主張することです。
実務上、「特別受益」や「寄与分」が認定されるハードルは高く、本件でも立証の程度や法的評価の前提事実などから、最終的な裁判所の心証を得るのは厳しいと考えましたが、それでも、法定相続分からの修正を訴える以上は、法的な枠組みでの主張は不可欠と考えました。
迎えた第1回調停期日において、当方は、「特別受益」「寄与分」の主張をした後で、遺産の評価額の6分の1に相当する金額を1カ月以内にC男さんに支払う、という提案を行いました。
C男さんの法定相続分は4分の1ですから、C男さんには不利な提案です。しかし、「1円も譲歩しない」と主張していたC男さんも、まとまった金額が確実に1カ月後に手に入る、という当方の提案が予想以上に響いたようで、最終的には、当方の提示金額に多少の上乗せをした金額をC男さんに支払うことで、C男さんと合意ができました。
また、A夫さんの他の相続人2名は、B子さんが献身的にA夫さんの身の回りの世話をしていることをよくわかっていたため、B子さんがA夫さんの全財産を相続することは当然であるとして、相続分をB子さんに譲渡してもらえました。
これによって、B子さんは、A夫さんの財産の大部分を相続することができました。
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