ベラルーシ、ウクライナがきな臭い (※写真はイメージです/PIXTA)

欧州連合(EU)はベラルーシが難民や移民を意図的にEUへ流入させたと警告、緊張が高まっています。これとは別に、米国はEU同盟国にロシアがウクライナへの侵攻を検討していると警告しています。ウクライナの件ではロシアが名指しされていますが、ベラルーシの件でもロシアの関与がうかがえます。当レポートではベラルーシを中心に背景と市場への影響を述べます。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

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ベラルーシ:EUへの難民流入問題などを背景に周辺国の緊張が高まる

ベラルーシのルカシェンコ大統領は2021年11月11日、欧州連合(EU)が制裁を強化した場合、自国経由で欧州に送っているロシア産天然ガスのパイプラインを止める可能性があると警告しました。これに先立ち、EUは10日にベラルーシが意図的に中東などからの難民や移民をEU側に送り込んでいるとして来週初めに制裁を強化すると発表しています。ベラルーシの発表を受け、11日の天然ガス先物価格は上昇に転じました(図表1参照)。

 

日次、期間:2020年11月11日~2021年11月11日、期近物価格 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]欧州天然ガス先物価格の推移 日次、期間:2020年11月11日~2021年11月11日、期近物価格
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

一方、米国はEUの同盟国に対し、ロシアがウクライナ侵攻を検討している可能性があると警告しています。米政府はウクライナ国境付近でのロシア軍増強の動きを注視していると報道されています。

どこに注目すべきか:ベラルーシ、難民、天然ガス、パイプライン

EUはベラルーシが難民や移民を意図的にEUへ流入させたと警告、緊張が高まっています。これとは別に、米国はEU同盟国にロシアがウクライナへの侵攻を検討していると警告しています。ウクライナの件ではロシアが名指しされていますが、ベラルーシの件でもロシアの関与がうかがえます。当レポートではベラルーシを中心に背景と市場への影響を述べます。

 

欧州最後の独裁者とも言われるベラルーシのルカシェンコ大統領は1994年の就任以来、実権を握っています。昨年8月の選挙でも8割の支持を獲得しました。ただ選挙に不正があったのではと抗議の声もありましたが、強硬にこれを押さえ込みました。ロシアは選挙結果に祝意を示す一方で、西側諸国はベラルーシに経済制裁を課してきました。

 

これに対し、ベラルーシは、内戦などで疲弊するイラクやアフガニスタンからベラルーシに流入してきた難民等をEUの玄関であるポーランドに(意図的に?)流入させていると報道されています。なお、ベラルーシはロシアとポーランドの間に位置する国です。ベラルーシの東には(距離はありますが)アフガニスタンなどがあり、EUを目指す難民の玄関口となるポーランドと国境を接しています。なお、ウクライナもポーランドと広く国境を接していますが、ウクライナとロシアは対立しています。

 

ベラルーシに対しEUが制裁を強化する考えであるのに対し、ルカシェンコ大統領はロシアからベラルーシを経由してドイツに通じる天然ガスパイプライン「ヤマル・ヨーロッパ」の稼働を停止すると警告しています。なお、EUに運ばれるロシア産天然ガスの約20%がベラルーシ経由といわれています。

 

もっとも、ベラルーシがロシアの同盟国とはいえ、ベラルーシが勝手にパイプラインの稼働をとめることは考えられず、(恐らく)ベラルーシの強硬姿勢の背景にロシアの影がちらつきます。

 

なお、ロシアからベラルーシなどを通らず、バルト海の海底経由でEUに天然ガスを供給するパイプライン「ノルドストリーム2」の運用開始を巡ってもロシアとEUの間で政治的な駆け引きが行われています。

 

市場の反応を見ると、ベラルーシの件を受け天然ガス先物価格は小幅な反発に留まっています。なお、欧州の天然ガス価格は供給不足などを背景に10月月初まで急上昇していましたが、ロシアが「ノルドストリーム2」などを通じて供給をすると述べたことなどを受け足元は下落傾向でした。

 

一方、ロシアルーブルは11日、天然ガス価格の上昇にもかかわらず対ドルで売られました(図表2参照)。

 

日次、期間:2020年11月11日~2021年11月11日 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]ロシア政策金利とルーブル(対ドル)レートの推移 日次、期間:2020年11月11日~2021年11月11日
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

ロシアのインフレ率は8%台と高水準で、年内、これまでに合計6回の利上げが実施されました。ルーブル安を許容できる経済状況ではないと見られ、市場の反応は今回の件に対し好意的ではないようです。

 

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『ベラルーシ、ウクライナがきな臭い』を参照)。

 

(2021年11月12日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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