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燃料価格の高騰は、気候変動対策強化の「予行演習」

週末に近くの小学校を通りかかったら、校庭に白いテントと入退場門が用意されていました。運動会が開かれる直前だったようです。西日を浴びながら予行演習をしたことを思い出しました。

 

日本国内でもガソリン価格が上昇しています。輸送コストの上昇が、様々な財やサービスの価格に波及するものと思われます。

 

そうした中、先月末は『COP26』(第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議)が開幕し、同じ週に、OPEC(石油輸出国機構)とロシアなどの主要産油国による「OPECプラス」の会合も開かれました。

 

「かたや気候変動対策の加速を訴え、かたや産油国に増産を迫るというのは整合性が取れるのか」というツッコミが入ったら、筆者は切り返せるのだろうかと不安に感じました。

 

我々が現在、経験している燃料価格の高騰は、気候変動対策強化の「予行演習」と考えられるかもしれません。

コロナ飲み薬開発は経済界にとっても「良い薬」

今月に入り、実体経済や金融市場にとって、とても良いニュースがありました。それは、製薬の世界大手2社(メルク、ファイザー)が相次いで新型コロナウイルス感染症を治療するための飲み薬を開発したというニュースです。

 

新型コロナウイルス感染症は、予防と治療の両面からコントロールする段階へと進み、ウイルスとの共存=日常生活の回復がいよいよ本格化します。

パウエル議長:我々は“behind the curve”ではない

先週、FRB(連邦準備制度理事会)はFOMC(連邦公開市場委員会)を開き、テーパリング(金融資産買い入れ金額の縮小)を決定しました。縮小のペースが変わらなければ、金融資産の買い入れは来年6月に停止されます。

 

パウエル議長はFOMC(米連邦公開市場委員会)後の記者会見で「我々は“behind the curve”ではない。起こりえる可能性に対してうまく対処できるポジションにいる」と述べました。

 

“behind the curve”は、「マーケットによる政策金利の織り込みに対し、中央銀行が遅れを取っている」という意味で、現下の場合には「遅れを取っているなら、インフレ懸念が台頭する恐れがある」ことを示唆します。議長はこれを「杞憂」としたわけです。

 

実際、マーケットによる利上げの織り込みは、FRBによる利上げ見通しの「かなり先を行って」おり、マーケットは、FRBが「インフレを一時的」と読み違って“behind the curve”に陥ることを心配しています。
 

[図表]米国の金利政策とその見通し
[図表]米国の金利政策とその見通し

 

FRBの言い分は、「景気過熱によるインフレに対してではなく、供給制約によるインフレに対して利上げを行うのは、セオリーから外れる」というものでしょう。なぜなら、供給制約は利上げによって解消されるわけではないためです。

 

一時的な供給制約から生じるインフレに対し、引き締めによって総需要を抑制してしまうと、生産能力が回復するときに不要な「マイナスの需給ギャップ」(→デフレ・ディスインフレ圧力)を生む可能性があります。

 

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