パンデミックがアジア太平洋の消費者に与えた影響…保険への関心の高まりとデジタルアクセスの急増

パンデミックがアジア太平洋の消費者に与えた影響…保険への関心の高まりとデジタルアクセスの急増
(写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、ニッセイ基礎研究所が2021年11月5日に公開したレポートを転載したものです。

3―オンラインチャネルを通じた保険加入の急増

2021年調査で、過去6カ月間で一つ以上の保険に加入したと回答した人々の39%が保険会社のオンラインウェブサイトやアプリ上での手続きを完了しており[図表5]、保険加入のデジタル化の進展が著しい

※ スイス再保険の同レポートP.9によれば、2019年時点では、日本、香港、シンガポールにおけるデジタルチャネルを通じた保険加入は、保険料ベースでいずれも5%に満たなかった、とされている。

 

[図表5]過去6ヵ月間の保険加入チャネル
[図表5]過去6ヵ月間の保険加入チャネル

 

また、2021年調査の回答者の約50%が、今後、オンラインやアプリによる保険加入を検討しており[図表6]、この傾向は今後もますます高まることが予想される。

 

[図表6]過去6ヵ月間の保険加入チャネル
[図表6]過去6ヵ月間の保険加入チャネル

4―保険会社に改善を求める点

同シグマレポートでは、今後、新型コロナウイルスと同様の健康危機が再び発生すると仮定した場合における、保険会社にサービス改善を望む点についても調査対象としている。

 

改善を望む声が一番多かったのが、「請求処理ならびに支払の迅速化」であり、続いて、「適用範囲の条件をより柔軟にすること」そして「取引を処理するためのデジタルアクセスを可能にすること」となっている[図表7]。

 

[図表7]将来、改善が望まれる保険サービス
[図表7]将来、改善が望まれる保険サービス

 

ここでも、デジタル化への消費者の期待が顕在化していると考えられる。

5―おわりに

当レポートでは、スイス再保険の調査結果に沿って、新型コロナウイルスがアジア太平洋地域の消費者に与えた影響について紹介してきた。

 

新型コロナウイルスが世界に与えた影響は極めて大きいものであったが、健康への意識や、生保・医療保険ニーズの高まりも見られ、生命保険会社にとっては、追い風となっている部分もあるものと考えられる。

 

また、対面でのやりとりの制限を受け、デジタルアクセスについての意識や、ニーズが急速かつ、著しく高まっていることもわかった。今後も、この傾向は継続するものと考えられるが、一方で、シンガポールにおいては、商品種類や手続き場面の違いにもよるが、デジタルアクセスよりも人を介したサービスを望む声も根強い、との調査結果も公表されている

※ 2021年9月17日付 MoneySmart's Insurance White paper 2021 “Bots vs Bodies”

 

新興諸国を含むアジア太平洋地域の保険市場は、引き続き高進展が予想されており、オンライン化含め、著しく変化を続けている。

 

今後も引き続き、動向について注視していきたい。

 

 

有村 寛

ニッセイ基礎研究所

 

【関連記事】

税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると

あなたにオススメのセミナー

    本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

    人気記事ランキング

    • デイリー
    • 週間
    • 月間

    メルマガ会員登録者の
    ご案内

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    メルマガ登録
    TOPへ