本連載では、経済環境などに左右されず、確実に利益を生むための「不動産」運用法をご紹介します。今回は、有価証券や現金といった不動産以外の資産とのバランスについて見ていきましょう。

日本人の「相続財産の内訳」はほぼ一定している

日本国内において、相続財産がどのような内訳となっているのかを少し見ておきましょう。2011年度分の相続税の種類別取得財産価額の総額が約11兆7043億円に対して、次のようになっています。

 

・土地は45・9%の5兆3781億円

・現金・預貯金は24・4%の2兆8531億円

・有価証券は13・6%の1兆5209億円

・家屋・構築物は5・7%の6716億円

・その他は10・9%の1兆2806億円

 

なお、この国税庁の数字は生命保険を「その他の財産」として処理しています。また、この数字は2010年度では、相続税の種類別取得財産価額の総額が約11兆4555億円に対して、次のようになっています。

 

・土地は48・3%の5兆5332億円

・現金・預貯金は23・3%の2兆6670億円

・有価証券は12・1%の1兆3889億円

・家屋・構築物が5・8%の6591億円

・その他は10・5%の1兆2071億円

 

年により増減はありますが、このように相続財産の内訳(割合)はほぼ一定しています。すなわち、不動産関係が5割ほど、有価証券は1割強、現金が2割強となっているのです。もし、この相続財産を一人の人間の相続財産と考えると、どのようなことがいえるでしょうか。

不動産・有価証券・現金は、5:3:2の割合で所有!?

その人の財産を100とすると、宅地、建物・構築物で50強、有価証券で15前後、現金・預貯金で20強ということになります。それが、日本の相続財産の全体像ということになるわけです。多くの人が相続税を意識していますが、実際の対策を取っている人は決して多くはありません。

 

それにしても、一定の相続対策を取った結果がこのような数字・割合になって現れてきます。この数字を前提として、私も資産は「不動産:有価証券:現金=5:3:2」くらいの基準で所有するのがベターだと考えています。

 

実数が明確ではないので断言はできませんが、ちょうど国税庁が「その他の財産」のカテゴリーに入れた生命保険などを「有価証券」に加えたほどの割合です。土地の有効活用が大切だといっても、財産を土地ばかりで所有していると流動性に乏しく、換金するのにも時間と手間がかかり日々の生活を考えれば現実的ではありません。

 

一方、財産を現金ばかりで所有していると、インフレ環境になったときに目減りしてしまう可能性があります。生命保険など、後述するように生前贈与を意識した保険の場合は、換金性の面で融通が利きません。

 

株式ばかりで所有していると経済状況によって、またその株式を発行する企業の業績によって大きく値段が上下します。高齢者の財産活用ということを考えると、まさしく心臓に悪い資産です。一つひとつを取り上げれば、このようにメリット・デメリットがあるので、バランスよく所有しましょう。

本連載は、2014年3月20日刊行の書籍『塩漬けになった不動産を優良資産に変える方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

塩漬けになった不動産を 優良資産に変える方法

塩漬けになった不動産を 優良資産に変える方法

相馬 耕三

幻冬舎メディアコンサルティング

バブル崩壊以降、買ったはいいものの収益を生んでいない賃貸物件や、地価の暴落でほったらかしになっている土地を抱える不動産オーナーは多くいます。ソニー生命の不動産整備などを実現してきた経験豊富な不動産コンサルタント…

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