前回は、「財産を使い切る」という発想の必要性について取り上げました。今回は、所有不動産が「塩漬け状態」になる要因について見ていきます。

土地や建物の価格動向に鈍感な不動産オーナー

不動産が塩漬け状態になってしまう根本的な原因は、買った後の市場を予測できないことにあります。それもそのはずで、不動産価格の決まり方は非常に複雑であり、プロではないオーナーが正確につかむことは難しいからです。

 

皆さんは自分が所有している不動産についてどこまで詳しく知っているでしょうか? 自分の所有している不動産の現状や地番の他、大まかな価値(地価)の額、毎年納付している固定資産税くらいしか把握していない人も少なくないはずです。その地価が収益還元法をはじめどういう計算式で弾き出されるのか、なぜ地価が上がったり下がったりするのか、また、細かなことですが固定資産税の負担水準は課税明細書のどこに書かれているのか、となると「?」となってしまうのです。

 

そこで、まず不動産価格がどのようにして決まるのか、将来の不動産価格を予測するためにはどんな要因・情報を踏まえたらよいのか、など主に価格面に焦点を当てて解説していきます。なぜなら、今後の不動産の有効活用において何より重要なのが不動産の現在と将来の価格を把握し、予測することだからです。

 

不動産オーナーは土地や建物の価格の動きについて鈍感すぎるきらいがありました。そのため何の対策を打つこともできず、不動産は塩漬け状態になり、結局は損を被ってしまうのです。

土地取引価格の目安となる「公示地価・基準地価

では、皆さんが所有する土地の価格はどのような基準で決まっているのでしょうか。日本の地価は欧米と異なり複雑で、「一物四価」とも「五価」とも「六価」ともいわれます。どれも間違ってはいないので、「一物多価」という言い方もできます。そのなかで、主な基準を挙げると、次の四つの価格があります。

 

①地価公示価格(公示地価)

国土交通省の指導のもと、不動産鑑定士の集まりである土地鑑定委員会が調査・評価し、公示する地価です。毎年1月1日が評価基準日であり、3月下旬に国交省から公示されます。

 

具体的には、都市とその周辺部に標準地を選び、ひとつの地点について二名の不動産鑑定士が別々にその土地の地価を調査して評価します。その際には、不動産鑑定士が直近の取引事情や収益性なども加味するので、いわば国から発表される公的な土地評価の基準ともいえます。この公示価格は相場水準よりも1割程度固めの価格といわれています。

 

②基準地価(都道府県地価調査基準地価格・都道府県地価調査結果)

国が発表した公示地価をもとに、各都道府県の指導のもと、不動産鑑定士が調査して発表する地価です。毎年7月1日が評価基準日であり、年によって異なりますが、概ね9月頃に発表されます。この基準地価も相場水準よりも1割程度固めの価格といわれています。

 

地価公示価格が都市計画区域内を対象にしているのに対して、基準地価は都市計画区域外の林地、山地なども含むことに特徴があります。いわば、全国まんべんなく調査・発表される地価であり、地価公示価格と並んで国内の土地取引価格の目安になっています。

 

残りの二つは次回見ていきます。

本連載は、2014年3月20日刊行の書籍『塩漬けになった不動産を優良資産に変える方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

塩漬けになった不動産を 優良資産に変える方法

塩漬けになった不動産を 優良資産に変える方法

相馬 耕三

幻冬舎メディアコンサルティング

バブル崩壊以降、買ったはいいものの収益を生んでいない賃貸物件や、地価の暴落でほったらかしになっている土地を抱える不動産オーナーは多くいます。ソニー生命の不動産整備などを実現してきた経験豊富な不動産コンサルタント…

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