前回は、「路線価」「固定資産税評価額」と「不動産鑑定評価額」の概要について説明しました。今回は、不動産価格の「相場」が読みにくい理由を見ていきます。

事前に価格を決めることができない不動産の売買

本当の意味での不動産の「相場」とは何でしょうか。そして、その相場はどのような要因で決まるのでしょうか。

 

まず「相場」とは、「その不動産の周辺における複数の実際の取引価格から類推できる金額」と考えることができます。本来、その不動産の価格は、実際に取引したときの価格で「いくらか?」を見るべきですが、不動産はひとつとして同じものがないので、それができません。

 

そこで、同種の不動産の実際の取引価格から類推できる金額を見るのですが、不動産は換金性が低い資産であるため、実際の取引価格を頻繁にチェックすることは不可能です。ですから、「相場はこのくらいです」という言い方しかできないわけです。

 

もし、あなたが所有する不動産について近隣の不動産業者に価格を確認してみても、「いま、その周辺の不動産は××万円が相場ですから、おたくのマンションは△△万円くらいでしょうね」などと、類推できる金額しか教えてくれないはずです。このように、不動産は価格を事前に決めて売買できるものではなく、売り手と買い手の双方の納得のうえで価格が決まると考えたほうがよいのです。

不動産業者は土地の特性を加味して価格を算出

実務上、多くの不動産業者は近隣の地価公示価格と相場水準等を基準にして、間口が狭い場合は間口減価を行い、傾斜地の場合は傾斜地減価等を行うなど、その土地の特性を加味して物件の価格を算出し、そこから1〜2割程度を上乗せして売り希望価格を設定しているのが通常です。

 

このような状況にあるため、一般的な不動産オーナーには、不動産市場、また価格について予測することが簡単にはできないものとなるのです。

本連載は、2014年3月20日刊行の書籍『塩漬けになった不動産を優良資産に変える方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

塩漬けになった不動産を 優良資産に変える方法

塩漬けになった不動産を 優良資産に変える方法

相馬 耕三

幻冬舎メディアコンサルティング

バブル崩壊以降、買ったはいいものの収益を生んでいない賃貸物件や、地価の暴落でほったらかしになっている土地を抱える不動産オーナーは多くいます。ソニー生命の不動産整備などを実現してきた経験豊富な不動産コンサルタント…

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