相続税・贈与税などを算定する基準となる「路線価」
前回に引き続き、土地の価格を決める基準について見ていきます。
③路線価(相続税路線価・倍率価格・相続税評価額)
国税庁が毎年1月1日を基準日として評価し、8月頃に発表する地価です。全国まんべんなく評価され、その内容は各地の税務署や国税局でも閲覧できます。評価は、地価公示価格をもとに、売買の実例の他、不動産鑑定士による評価などを参考にしていますが、実態としては、地価公示価格の8割が目安といってよいでしょう。この路線価は相続税、贈与税などを算定する際の基準となります。
ちなみに「路線」とは道路のことです。すなわち路線価とは、その地点の道路の地価ということになり、路線に面した土地はその路線価が地価を示しますが、道路から奥まった土地(袋地)、細い路地や私道を入った土地などは、一定の割合で減額されます。
④固定資産税評価額
各地方自治体が3年ごとの1月1日に見直し、5月頃に公表する地価(評価額)です。各役所の固定資産課税台帳に登録されるので、確認したい場合は、その台帳を閲覧(縦覧という)できます。この評価額は国(総務省)の「固定資産評価基準」に基づいて決定されますが、地価公示価格の7割程度が目安と考えていいでしょう。固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税などの算定に利用されます。
公的機関でも利用される「不動産鑑定評価額」
この他にも、不動産業者等が地域の取引事例から比較して相場水準として把握した「実勢価格」、不動産鑑定士が顧客の依頼に応じて査定する「不動産鑑定評価額」があります。
不動産鑑定評価額については、国家試験に合格した不動産鑑定士が顧客の依頼に基づいて一定の報酬を得て、個々の不動産を一定の条件のもとに評価する「正常価格」と「特別価格」があります。この評価はすでに50年ほどの歴史を経て都道府県、裁判所等の公的機関、法人・相続税申告等で幅広く利用されています。
細かくなりますが、最近、収益不動産については、欧米の影響を受けて、日本でも取引事例による比準価格よりその個別の不動産の収益性をベースに査定した収益価格が、売買の取引価格に大きな影響を与えています。公的な土地評価を含め、これほどたくさんの基準や種類があることは複雑すぎて無駄が多いと感じています。できれば個別性のある不動産は「あるべき価格」ではなく「あるがままの価格」を重要視して個々人が自己責任で取引する社会が理想なのではないでしょうか。