(※写真はイメージです/PIXTA)

父親が残した手書きの遺言書、日付・印鑑・署名はありますが、近所のスーパーのチラシの裏に書かれていました。法的効力はあるのでしょうか? 多数の相続問題の解決の実績を持つ司法書士の近藤崇氏が、実例をもとにわかりやすく解説します。

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スーパーのチラシの裏に書かれた父の遺言書

 相談内容 

 

50代会社員です。先日、私の父親が亡くなりました。父親は兄と同居していたのですが、兄から「父親が遺言書を残しており、そこには『全財産は兄に相続させる』と書いてある」といわれました。

 

驚いて実家へ実物を見に行ったところ、その遺言書は、近所の激安スーパーのチラシの裏に書かれたものでした。

 

「ばかな、こんなものが有効なわけがない!」

「なにを言っているんだ、日付も捺印もある!」

 

結局、兄と言い合いになってしまい、その日から口をきいていません。

 

筆跡は確かに父親のものですし、日付も押印もあります。しかし、チラシの裏に書かれた遺言書が果たして有効なのでしょうか? プロの視点から教えてください。

遺言書を書く紙に、法律上の指定があるわけではない

 回 答 

 

結論からいえば、法的には有効な遺言といえるでしょう。

 

法律上、遺言を書く紙になんらかの指定があるわけではないため、チラシの裏やメモ帳に書かれた遺言書であっても有効だといえます。

 

実際に、弊所のような司法書士事務所でも、こうした自筆証書遺言について家庭裁判所で検認を受けたうえで、横浜地方法務局管内の法務局に相続登記を申請し、問題なく相続登記が受理が完了したケースがあります。

 

とはいえ、本人の意思で書いたものかどうか疑いをかけられる恐れもないとはいえません。これから自筆証書遺言を書く方については、せめて便せんなどの紙に書かれることをお勧めします。

 

※本件は業務上の経験と個人的な見解とに基づき記載しておりますので、内容の正確性、法的整合性等ついては一切の保証をできかねます。各相続のケースでは各専門家の指導の下、個別具体的な判断お願い致します。

 

 

近藤 崇
司法書士法人近藤事務所 代表司法書士

 

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本記事は、司法書士法人 近藤事務所が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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