前回は、株式評価の純資産価額方式について解説しました。今回は、プライベートカンパニー設立のメリットとデメリットについて見ていきます。

個人の場合と比べて「損益通算」が容易に

プライベートカンパニーのメリットをまとめると、下図表のようになります。相続人をプライベートカンパニーの役員や従業員とすることで、「相続人への所得分散」が可能になりますし、株価対策を行った上で株式を贈与すれば、「相続人への所得と資産の移転」が少ない負担で行えます。

 

             プライベートカンパニーのメリット

「損益通算が容易」「経費の範囲が拡大」というのは、いずれも個人で資産を保有している場合との比較です。例えば、個人では不動産所得の赤字は同じ年の他の不動産所得としか損益通算できませんが、法人ならすべての所得を合算できますし、赤字の繰り越しも可能です。

 

経費の範囲についても、法人の方が個人より幅広く認められます。「意思能力を失っても、財産管理できる」「名義変更が容易」というのは、これからの高齢化社会でますます重要になっていくでしょう。

設立・維持にかかるコストに留意

意思能力がなくなると、基本的に契約や遺言などの法律行為ができなくなります。ところが、資産がプライベートカンパニーの保有であれば、その管理や処分については取締役会が株式総会の決定で行えます。また、株式の名義変更も比較的簡単に行えます。

 

一方、プライベートカンパニーにはデメリットもあるので注意が必要です。例えば、株主が増えすぎると株主総会での意見集約に手間取ったりして、財産管理が大変になります。

 

また、保有する資産からの収入によっては、所得税より法人税の方が高くなる場合があります。その他、設立費用(約30万円〜)、税理士への報酬、法人住民税の均等割り(東京特別区の場合は約18万円)などのコストも考慮する必要があるでしょう。

 

    個人と法人の有利・不利(税制上)

本連載は、2015年9月19日刊行の書籍『余命一カ月の相続税対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
〈税務の取扱に関する留意点〉
本連載の内容は、平成28年7月現在の税制・関係法令等に基づき記載しております。今後の税制改正等により税務の取扱等が変わる場合もありますので、記載の内容につきましては将来にわたって保証されるものではないことにご注意ください。個別の税務取扱い等については、税理士や所轄税務署等にご確認されることをお勧めします。

余命一カ月の相続税対策

余命一カ月の相続税対策

福田 郁雄,木村 祐司

幻冬舎メディアコンサルティング

突然やってくる“その時”、わずかな時間でできる対策は限られています。しかし、正しいノウハウをもってすれば、相続税対策は2週間程度で完了、相続税をゼロにでき、それどころか、子孫に受け継いだ資産がその後も増え続けて…

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