前回は、具体的なプライベートカンパニーの作り方と活用法を説明しました。今回は、プライベートカンパニーの株価の評価方法について見ていきます。
資産を「株式」に換えて評価を下げる!?
実は、私たちがアドバイスしている資産家の皆さんは、すでに半分ほどがプライベートカ
ンパニーを所有していますが、実際にはほとんど活用されていません。プライベートカンパニーはどのように使えばいいのでしょうか。
基本は、被相続人が保有している不動産や株式、預貯金などの資産を分離し、プライベートカンパニーに移すことです。資産をプライベートカンパニーの「株式」に換えて、その評価を下げるわけです。
また、いったん資産をプライベートカンパニーに移せば、本人が認知症などになった際も柔軟に対応できます。なぜなら、法人が保有する資産をどう運用したり、処分したりするかは取締役会や株主総会の判断でできるからです。
株式評価は「純資産価額方式」で行う
プライベートカンパニーに資産を移す方法には、出資(現物出資を含む)、貸し付け、社債発行などがあり、通常は出資の形をとることが多いでしょう。こうして設立したプライベートカンパニーが、借り入れ等を組み合わせて収益不動産を取得します。
プライベートカンパニー(法人)の株式の評価は、基本的に純資産価額方式で行われます。法人が保有している株式や不動産の評価額がそのまま株式の評価額になるのです。そして、ここが重要なポイントですが、法人が保有する不動産の評価については、取得から3年経過すれば相続税評価額になるのです。
そのため、株式の評価額を圧縮できるというわけです。借入金があれば、Eさんのケース(Bプライベートカンパニー)のように、株式の評価がゼロになることもあります。
プライベートカンパニーのBSと株価(土地建物所有方式)
株式会社福田財産コンサル
代表取締役
1959年生まれ。ミサワホームの資産活用部門責任者、アパマンショップの不動産投資会社の責任者を経験後、2004 年に独立系資産経営コンサルティング会社として、株式会社福田コンサルを設立。特に不動産を活用した相続税対策のコンサルティングに絶大な強みを持ち、17億円も相続税を減らすなど同業他社の追随を許さない専門力を持つ。コンサルティングしてきた資産は総額1200億円超。ファイナンシャルプランナー、公認不動産コンサルティングマスターおよび相続対策専門士統括講師、相続アドバイザー養成講座講師。相続税対策や不動産投資に関する複数の著書あり。
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連載相続対策の切り札「プライベートカンパニー」の活用術
木村祐司税理士事務所
税理士・アセットコンサルタント
1967年生まれ。中学卒業後、タンカーの甲板員から始まりブルーカラーの仕事にいくつか従事する中で、給料から天引きされる税金に疑問と興味を持ち税理士を志す。1998年12月税理士試験に合格。当初はコンサルティングファームでファイナンシャルディレクターとしての経験を積み、企業会計実務の知見を得た後に木村祐司税理士事務所を開設、現在に至る。
経営者や資産家の財務・税務コンサルティングを強みとし、絶対的な信頼感のもと企業の資金調達、経営管理、節税対策や資産管理、事業承継までを任されている。資産3億円以上を得意とし、相続税・贈与税だけではなく、資産運用の観点からトータル的なTAXプランニングの提案・実行をおこなう。
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