昨今、情報に機敏な一部の富裕層が恐れているキーワードの一つに「GATCA」というものがあります。カタカナで書けば「ガトカ」です。このGATCAを理解するうえで、その前提となる「FATCA」(ファトカ)という制度を解説します。

GATCAは米国FATCAの世界拡大版

FATCAとは(すでにご存じの方も多いでしょうが)、米国の法律(税法)で、Foreign Account Tax Compliance Actの略称です。日本語でいえば「外国口座税務コンプライアンス法」といったところですが、要するに、米国の税金を逃れるために、外国(つまり米国以外)に銀行口座等を保有し、そこに資産を隠すケースが増えたことから、それを防止することを目的として制定された法律です。
 
米国という国は、米国人である限り、世界中のどんな国で暮らし、どこの誰から稼いだとしても、米国に税金を支払うという「全世界課税」を基本としており、FATCAは、まさにそれを徹底するための法律です。
 
FATCAのスゴイところは、外国(つまり米国以外)の金融機関にまで規制の影響が及んでいるということです。例えば「FATCAに協力する」と公式表明している日本では、金融機関で新規口座などを開設する場合、米国の納税義務者(要するに米国人)かどうかを金融機関サイドで確認する手続きが設けられています。これは2014年7月からスタートした制度ですが、米国の納税義務者に該当する場合には、米国の内国歳入庁(Internal Revenue Service=IRS)に金融機関が詳細な預金口座情報を報告することになります。
 
もちろん現状、世界中のすべての金融機関がFATCAの影響下にあるわけではないのですが、日本のように積極的に協力する国は拡大しており、米国人の場合、海外を活用したタックスプランニングを行うことは以前にも増して難しくなっています。

銀行口座情報の交換体制を強化するOECD加盟国

FATCAが、Foreign Account Tax Compliance Actの略称であることは前述のとおりです。そしてGATCAとは、この「Foreign」を「Global」に置き換えたものです。日本語でいえば「世界的な口座税務コンプライアンス法」といったところでしょうか。
 
GATCAを主導しているのはOECDです。要するにOECD加盟国間で、銀行口座情報等の交換を強化するという動きであり、2015年末といった具体的なスタートの時期まで取り沙汰されている状況です。日本でもすでに国外財産調書制度がスタートしていますが、海外資産の透明化という流れは、国レベルの協力のもとで今後さらに加速していくことでしょう。このGATCA実施の影響を「杞憂」と捉えるのか、いや何か自分できることを考えて行動に移すのか、それが問われる時代になっています。

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