香港の金融機関であるニッポン・ウェルス(NWB:Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank)が、2017年7月から新サービス「eNWB」を開始した。海外金融機関で本格的な資産運用を行うにあたっては、数千万~数億円で設定されることもある最低投資額がひとつのネックになるが、今回の「eNWB」は、この敷居を大きく下げていることで注目を集めている。本稿では、eNWBの「ファンド積立プラン」を活用した海外投資の事例をご紹介する。

「預金」をする場合は最低預入金額に注意

前回の続きです。

 

「Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank 」(以下、NWB)が今年から開始した「eNWB」。このサービスを利用した場合に従来の取引と異なる点は、「投資信託を購入するための送金後、購入代金が引き落とされるまでの間に預ける資金」が「預金」ではなく、ファンド購入のため一時的に預かる「預り金」として扱われる点です。

 

 

NWBに「預り金」を預ける際には使用目的が特定されている必要があるので、資金をNWBに送金する前にファンド購入の予定を具体的にNWBと相談する必要があります。

 

新サービス導入後も、引き続きNWBに「預金」をすることは可能ですが、この「預金」については、香港の銀行法「restricted licence bank(限定免許銀行)」で定められている最低預入金額の50万香港ドル相当額を上回る金額である必要があります。

「ドルコスト平均法」による積立投資が可能

eNWBサービスを活用すると、10万米ドル未満の投資が可能になり、「ファンド積立プラン」を通じて毎月定額でファンドを少しずつ購入することができます。つまりeNWBで積立投資ができるのです。

 

積立投資を行えば、いわゆる「ドルコスト平均法」を活用した投資、つまり「常に値段が上下している投資商品にタイミングを計って投資することは難しいため、投資タイミングを分散し高値掴みを避けることで、運用実績を改善させる」という考え方の基で定額投資することが出来ます。価格下落の局面では数量を多く購入でき、逆に価格上昇の局面では数量を少なく購入することが自動的に行われるのです。下の図表はeNWBファンドリストに含まれている、あるファンドの過去5年間の価格の変動です。

 

[図表]

 

まずは典型的な「バイ・アンド・ホールド」手法の例ですが、2012年8月にこのファンドを購入し、そのまま保有した場合は115.6%のリターンとなっています。一方、同じ手法で2015年4月に購入した場合のリターンは14.1%にとどまっています。

 

次に、ドルコスト平均法に従い同じファンドを購入した場合には、2012年8月から積み立て投資した累積リターンは53.5%。一方で、2015年4月から積立て投資した累積リターンも、値段が高騰した後に開始したにもかかわらず34.6%に達しています。

 

 

eNWBの「ファンド積立プラン」を利用すれば、ドルコスト平均法に従ったファンド投資を簡単に実践することが可能です。

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