今回は、「新耐震基準」を満たすマンションの概要をご紹介します。※本連載は、須藤桂一氏の書籍『忍び寄るブラックマンション危機とその回避法』(保険毎日新聞社)の中から一部を抜粋し、マンション管理に様々な問題を抱える、いわゆる「ブラックマンション」の概要と、ブラック化の回避方法を見ていきます。

震度7の地震にも耐えうる新耐震マンション

最近、耐震面から建て替えを検討するマンションが増えています。1995年の阪神・淡路大震災、そして2011年の東日本大震災の経験から、地震に対する対策の必要性は誰もが切実に感じていることでしょう。

 

「旧耐震基準」(1981年5月31日までの建築確認において適用された基準)では、中規模の地震(震度5強程度)に対して、建物がほとんど損傷しないという想定で設計されていました。ただ、それを上回る大規模な地震(震度6強や震度7程度)に対しては検証されていなかったんですね。

 

そこで、1981年6月1日以降の建物に適用されている「新耐震基準」では、震度5程度の地震では軽微な補修で使い続けることができ、震度6や震度7の地震でも建物が倒壊しない、つまり人命は守られる、というように構造の基準が引き上げられています。

 

ですから、旧耐震基準で建てられたマンションは、耐震診断や耐震補強が必要となり、マンションの解体や建て替えの大きな要因のひとつになっているのです。

最近の建築物なら100年以上は使い続けることを前提に

このように、マンションはそれぞれ異なる要因を持っているので、実際の耐用年数を考える場合に、どれも「一律に同じ」と見ることには無理があります。

 

けれど、少なくとも1981年6月以降の新耐震基準後、ここ30年ほどの間に建築されたマンションは「孫子の代まで」、つまり100年以上は、できれば200年や300年は使い続けることを前提に、物事を考えていただきたいと思っています。

 

いかがでしょうか。マンションの寿命は施工の方法、耐震規準で大きく変わってくるのです。

 

 

イラスト=田中マコト 

本連載は、2015年4月21日刊行の書籍『忍び寄るブラックマンション危機とその回避法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

忍び寄るブラックマンション 危機とその回避法

忍び寄るブラックマンション 危機とその回避法

須藤 桂一

保険毎日新聞社

金融破綻、年金破綻、そしてマンション破綻、著者はこの3つを「日本の三大破綻」と位置付けている。高すぎる管理費が修繕積立金を圧迫するなか、人口が減少していくニッポンで地方のマンションは資産価値を保ち続けることがで…

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