「何気ない暮らしが、どれほど幸せなものだったか」
■勉強
・正しい判断力を身に着けて、選択を誤らないようにするためには常に学び、自分を深めなければならなかったと思う。(八三歳)
・外国語が話せなかったこと。話せるようになれる経験を得られなかったこと。(六八歳)
・精一杯、その時その時を生きたのであまり後悔はないが、一つだけ、学生の頃もっと目的意識を持って勉強しておけばなおよかったかな? と思う。(六六歳)
・もっと勉強をしておけば良かったと思います。今語学を勉強しているんですが、飲み込みが悪いので、若い頃にもっとしておけば良かったと思います。スポーツも同じく。(六八歳)
・もっと本を読んでおくべきだった(視力の衰え、根気の無さ)。それと、もっと旅をしておくべきだった(体力の衰えを実感して)。(六九歳)
■今、思うこと
・夫を亡くしてから、以前の何気ない暮らしが、どれほど幸せなものだったかと今、強く思っています。(七五歳)
・両親と旅行したかった。(七一歳)
・主人が亡くなり、健康面で悪いことばかり起こり、もっとそれ迄元気な時に旅行などで遊んでおくべきだったと後悔した。だから、運動と旅行をしっかりやるようにしましたけど。(七一歳)
・老人ホームに入居してしまったことを後悔している。子供には入居すると早死にするよと言われているから、どうしようかなあと。(八〇歳)
・夫が定年になって以後、もっと自立できるように手助けすべきであった。現在家の中の事、全て妻に頼りっぱなしで嘆かわしい。今さら教育も無理ですしね。(七四歳)
・孤独な家庭で愛情に飢えて育ったためか、人に自分を認めてほしい、好かれたいという思いが強く、親友ができなかった。七〇を越えて、一人になってやっと正直に生きるようになり、友も出来た。遅いけど良かった。(七六歳)
・子供に迷惑をかけないようにという生き方は、疑問に思えてきた。(六九歳)
……様々な声を読んで、私なりに四点、現代の高齢者が感じていることについて挙げてみたいと思います(なお、「暗い振り返りが多いなあ」と思われたかもしれませんが、「人生の後悔は?」という問いですからそうなるのは当然で、高齢者の特性ではありませんので誤解なきよう)。
次回→『なんとも悲しすぎる…高齢者が取材で語った「人生の後悔」4つ』
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川口 雅裕
NPO法人「老いの工学研究所」理事長。 1964年生。京都大学教育学部卒。 株式会社リクルートコスモス(現株式会社コスモスイニシア)で、組織人事および広報を担当。 退社後、組織人事コンサルタントを経て、2010年より高齢社会に関する研究活動を開始。約一万六千人に上る会員を持つ「老いの工学研究所」でアンケート調査や、インタビューなどのフィールドワークを実施。高齢期の暮らしに関する講演やセミナー講師のほか、様々なメディアで連載・寄稿を行っている。 著書に、「だから社員が育たない」(労働調査会)、「速習!看護管理者のためのフレームワーク思考53」(メディカ出版)、「実践!看護フレームワーク思考 BASIC20」(メディカ出版)、「顧客満足はなぜ実現しないのか」(JDC出版)、「なりたい老人になろう~65歳からの楽しい年のとり方」(Kindle版)がある。