(※画像はイメージです/PIXTA)

厚生労働省の発表によると、2025年には約700万人、65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になると見込まれています。来たる超高齢化社会に向けて、認知症の基礎知識を身に付けておく必要があるでしょう。本記事では、医療法人翠清会・翠清会梶川病院、介護老人保健施設、地域包括支援センター会長の梶川博氏、医学博士である森惟明氏の共書『改訂版 認知症に負けないために知っておきたい、予防と治療法』より一部を抜粋・再編集し、認知症をはじめとする脳疾患を発見するための検査方法について解説していきます。

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脳の検査といえば「CTやMRI」だが…

「脳の検査といえば?」と質問すると、「CTやMRI」と答える人が多いと思います。確かに脳の形をみるにはCTやMRIが有効です。しかし脳が実際に活動している様子をみるにはそれだけでは不十分です。

 

[図表1]「けいれん患者」、発作のないときの脳波

 

発作(右不全片麻痺、左への共同偏視、四肢・頸部に間代性けいれん)後まもなくの脳波:各誘導に左右差(左に徐波)あり
[図表2]同患者の脳波 発作(右不全片麻痺、左への共同偏視、四肢・頸部に間代性けいれん)後まもなくの脳波:各誘導に左右差(左に徐波)あり

 

脳が活動するときは電気が発生しますが、この電気を頭の皮膚上で検出するのが脳波検査です(図1~2)。「けいれん」などが生じるような異常な電気活動はないか、「意識障害」のとき脳がどのような活動をしているかなどを調べていきます。

 

脳波を記録するために頭に22個、両手に1個ずつ電極をつけていきます(10分~15分)。電極をすべてつけ終わったら、部屋を暗くして脳波を記録していきます(10分~30分)。脳波はリラックス状態で記録するのが望ましいです。決して痛い検査ではないので、力を抜いて楽な気持ちで受けてください。

 

左側頭葉・視床・前頭葉に拡散強調画像で高信号域(脳梗塞)を認める
[図表3]同患者のMRI 左側頭葉・視床・前頭葉に拡散強調画像で高信号域(脳梗塞)を認める

「もろくなれば脳出血、詰まれば脳梗塞」

ABI検査は「ankle brachial index」の略で、baPWV検査は「brachial-ankle pulse wave velocity」の略です。これらは手と足の血圧を比較し脈波の伝わり方を調べて、動脈硬化による血管の老化などの度合(血管の硬さ)や早期血管障害を血管の状態として数値化するものです。

 

加齢や生活習慣病の進行とともに動脈硬化が進むと、心筋梗塞や脳卒中など生命予後に大きな影響を及ぼす疾病を引き起こす可能性が高くなります。動脈硬化とは、動脈血管の壁にコレステロールなどの脂質が付着することで血管が硬くなり、内部が狭くなる状態のことをいいます。

 

動脈硬化を引き起こす危険因子として次のようなものが挙げられます。脂質の異常、喫煙、糖尿病、肥満、高血圧などです。動脈硬化の進行を放置すると、例えば心臓に酸素や栄養を供給している冠動脈に起きれば狭心症や心筋梗塞、それから脳の血管がもろくなれば脳出血、詰まれば脳梗塞、足の動脈に起これば下肢の壊死につながる可能性があります。

 

血圧と脈波を同時に測定することにより、足の血管の詰まり(ABI)や血管の硬さ(baPWV)を知ることができます。

 

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次ページ10分程度で終わる!?「ABI、baPWV検査」の実際

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『改訂版 認知症に負けないために知っておきたい、予防と治療法』より一部を抜粋し、再編集したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

改訂版 認知症に負けないために知っておきたい、予防と治療法

改訂版 認知症に負けないために知っておきたい、予防と治療法

梶川 博、森 惟明

幻冬舎メディアコンサルティング

「脳梗塞・認知症・運動器症候群」 三大疾患 徹底解説シリーズの改訂版! 三大疾患「脳梗塞・認知症・運動器症候群(ロコモ)」を治療・予防することで「寝たきり」と「認知機能低下」を防ぎ、高齢者が自立して健やかな老後…

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