IMF、景気回復の2極化を懸念 (※写真はイメージです/PIXTA)

今回のIMFの世界経済見通しでは世界経済は回復を続け、前回からの成長率の修正は小幅としています。しかし地域による回復度合のバラツキを指摘しています。その背景として新型コロナウイルス、特にワクチン接種の動向、供給の混乱やエネルギー価格高騰を受けたインフレ率上昇の影響に懸念を示しています。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

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IMF世界経済見通し:世界全体の成長率予想の修正は小幅だが地域格差が見られる

国際通貨基金(IMF)は2021年10月12日に最新の世界経済見通し(WEO)を公表しました。今年の世界成長率見通しを前回(7月)と比べ小幅ながら下方修正しました(図表1参照)。

 

時点:前回は21年7月の予想、今回は21年10月の予想、% 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]IMFの主な国・地域の21年と22年経済成長見通し 時点:前回は21年7月の予想、今回は21年10月の予想、%
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

新型コロナウイルス禍からの堅調な回復を見込んでいるものの、回復の勢いの低下と国・地域間の格差の拡大に懸念を表明しました。

 

21年の世界成長予想は5.9%と0.1%の下方修正、22年は4.9%で据え置くなど、全体の変化は小幅ですが国や地域により格差が見られます。例えば米国の21年成長率予想は1.0%引き下げられました。一方、22年の予想は5.2%と前回の4.9%から上方修正されています。中国は今年、来年共に0.1%下方修正されました。日本の今年の予想は下方修正されましたが、22年は3.2%へと0.2%引き上げられました。

どこに注目すべきか:世界経済見通し、成長格差、ワクチン接種

今回のIMFの世界経済見通しでは世界経済は回復を続け、前回からの成長率の修正は小幅としています。しかし地域による回復度合のバラツキを指摘しています。その背景として新型コロナウイルス、特にワクチン接種の動向、供給の混乱やエネルギー価格高騰を受けたインフレ率上昇の影響に懸念を示しています。

 

まず、IMFの世界経済見通しの地域的特色を振り返ると、今年については先進国が下方修正、新興国が上方修正となっている一方で、22年については反対に先進国は上方修正され新興国は下方修正となっています。

 

先進国の21年の成長率見通しの引き下げは米国の大幅な引き下げが主因で、加えて日本なども下方修正されました。デルタ変異株の感染拡大で7-9月期の消費が落ち込んだことや、供給網が混乱し生産活動が抑制された点などが指摘されています。もっとも感染動向は落ち着きを見せ始めており、来年は上方修正されています。

 

次に新興国の成長率予想を見ると今年は6.4%と0.1%上方修正されましたが、来年は下方修正されました。新興国の動向を左右する中国は今年、来年共に下方修正されました。IMFは規制強化の方向にある中、公共投資の伸び悩みを指摘しています。なお、不動産市場規制による不動産企業の債務懸念についてIMFは中国当局の対応を求めています。中国景気は鈍い動きながら、ロシアなど産油国はエネルギー価格の上昇を受け今年の成長率予想は上方修正され、その結果、新興国全体は上方修正されました。

 

しかし、新興国の来年の成長の課題を指摘しています。まずは先進国との成長の格差です(図表2参照)。

 

※コロナ禍前の実質成長率トレンドと予想成長率の差、プラスはコロナ禍前の水準を22年までに回復することを示す 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]主な地域における22年までのトレンドと予想成長率 ※コロナ禍前の実質成長率トレンドと予想成長率の差、プラスはコロナ禍前の水準を22年までに回復することを示す
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

コロナ禍前の成長トレンドを回復するのは先進国のみで新興国の回復は相対的に鈍いとIMFは見ています。この背景はワクチン接種の違いをあげています。先進国は人口の6割程度が接種を完了しているのに対し、低所得国では約95%がワクチン接種を受けていないとしています。コロナ禍が長引けば現在も問題となっている供給網の回復がさらに遅れ、新興国だけでなく先進国の今後の生産が抑制されることも考えられます。

 

次に、インフレ率上昇の影響です。IMFはインフレ率は来年には低下を見込むも不確実性が高いとしています。新興国の中にはロシアやブラジルのように今年前半から、成長が回復する前にインフレ対応を迫られた国もあるうえ、今後利上げが想定される国においても、景気が押し下げられる懸念もあり、今後の動向を見守る必要がありそうです。

 

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『IMF、景気回復の2極化を懸念』を参照)。

 

(2021年10月13日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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