(※画像はイメージです/PIXTA)

近年活発化する、著名人の離婚騒動。対岸の火事……なわけでもなく、芸能人カップルを含め、年間20万組(令和元年調査)もの夫婦が離婚しています。本記事では、家事裁判を得意としている水谷江利氏が、民法770条第1項が規定している5つの離婚原因のうち、「配偶者の生死が3年以上明らかでないとき」、「配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき」について、解説していきます。

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「配偶者の生死が3年以上明らかでない」の定義

「配偶者の生死が3年以上明らかでないとき」とは、配偶者からの音信が途絶えてから3年以上経っていて、生死が確認できない場合をいいます。単に所在が不明な場合には3号にあたらず、生存しているか死亡しているか証明できないことをいいます。

 

実際には、この場合には、相手方に訴状をどうやって送達するかが問題になります。

 

住所がわかっている場合には「郵便に付する送達」、住所すらわからない場合には「公示送達」となります。(公示送達については裁判所のHPを参照)

「強度の精神病で回復の見込みがない」場合とは

「配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき」とは、単なる精神病ではなく「強度の精神病」「回復の見込みがない」という2つの条件を満たした場合をいいます。

 

しかし、「この2点の要件を満たす」と判断する事例はまれ。「強度の精神病」かどうか、「回復の見込みがない」かどうかは、医師の判断を必要とします。

 

典型例は統合失調症ですが、統合失調症とはいっても、服薬によって症状をコントロールできている方、発作などが伴い状態が次第に悪化している方など、さまざまな場合がありますので、一概にこれとはいいがたいです。

 

一方、うつ病、パニック障害など、一見して「強度」で「回復の見込みがない」とまでは言いにくいものについては、このような配偶者を見捨てて離婚を求めることは、逆に同居義務・協力義務・扶助義務に違反するものとして、認められないことにもなりかねません。

 

このような場合には、離婚後の生活支援の見通しをたてるなど、精神病を患っている配偶者の生活をある程度、保証する準備を整えていることを示して、初めて離婚が認められる余地が生まれます。

 

なお、相手方が強度の精神病であり、意思能力すら欠けている場合には、裁判所に申し立てを行い、成年後見人を選任してはじめて離婚訴訟を行えることになります。

 

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本連載は、「世田谷用賀法律事務所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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