(※画像はイメージです/PIXTA)

近年活発化する、著名人の離婚騒動。年間20万組(令和元年調査)、2秒に1組もの夫婦が離婚しているのが現状です。本記事では、家事裁判を得意としている水谷江利氏が、裁判離婚について解説していきます。

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「裁判離婚」は、協議や調停と何がちがうのか?

「人事訴訟」の形で争うので、離婚を求める人が「原告」、これを争う側が「被告」となります。「被告」という言葉に驚かれる方も少なくないのですが、刑事裁判の「被告人」とは異なり、「被告」は単に「相手方」の意味しか持たず、「悪いことをした人」という意味ではありません。

 

ただし、離婚協議や離婚調停とは異なり、離婚事由の有無に関する決定は、最終的には裁判官に委ねることになります。

 

親権者の指定のみならず、その他の請求があるときは、慰謝料、財産分与、養育費についても、ここで取り決められることになります。ただし、離婚訴訟においても、裁判所が双方に和解勧告をし、これに応じて裁判上の和解をする場合も多いのが実状です。

 

「調停離婚」か「裁判離婚」かは、戸籍に残ってしまう

2017年に最高裁判所から公表された結果では、離婚訴訟の一審の平均審理期間は12.9ヵ月。(最高裁判所・事務総局家庭局人事訴訟事件の概況より)

 

最初から訴訟することができず、まずは「調停」をしないといけない(=調停前置主義)ので、調停にだいたい半年くらいかかると考えると、家庭裁判所に事件を持ち込む準備をしてから、離婚訴訟まで進み、最終的な結論が出るまでの間、おおむね、2年近くかかることになります。

 

なお、結論に対してどちらかが高等裁判所に控訴すると、そこから少なくとも半年程度かかります。なかには、最高裁に上告する場合もあり、そうなると3年以上かかることになるのです。

 

そして、戸籍には調停離婚なのか、裁判離婚なのかが残ってしまいます。調停離婚の場合、戸籍上は「離婚の調停成立日」と記載されるのに対し、裁判離婚の場合、戸籍上は「離婚の裁判確定日」と記載されるので、のちに戸籍の記載を見れば、調停離婚した事実、裁判離婚した事実自体は分かってしまいます。

「裁判離婚」では弁護士を雇わざるを得ないのか?

離婚協議→離婚調停…と、当事者のみで対応してきた方であっても、離婚訴訟となると、訴状や準備書面の作成が必要となり、最終的には証人尋問(正確には「当事者尋問」)を行うことになるので、弁護士を起用する場合がほとんどです。

 

いずれにせよ、離婚を求める「原告」となる場合、離婚を求められている「被告」となる場合、それぞれ、裁判を有利に進めるためには、主張だけではなく、これを裏付ける証拠の組成が重要になります。

 

夫婦の事案は、やはり双方、感情的になりがちですが、どんな事実を提示すれば良いのか、何を証明すれば良いかなど、裁判には冷静な判断が求められます。弁護士の起用も含め、一度方針をよく確認することをお勧めします。

 

 

水谷江利

世田谷用賀法律事務所弁護士

 

 

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本連載は、「世田谷用賀法律事務所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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