悪しき商習慣を断ち切るキーワードは「データ活用」
日常生活でアマゾンを利用している人は多いと思いますが、購入を検討している商品をクリックすると、商品説明の下に同時購入を勧める提案が表示されます。さらに、その下には「よく一緒に購入されている商品」も3つほど表示されますが、こうした提案はこれまで蓄積された膨大なオーダーデータによる需要相関データに基づいて自動的に提案されるのです。
倉庫内の少数のアイテムが、ピッキング活動の大半を生み出しているように、いくつかの特定のアイテムは一緒にオーダーされる傾向にあります。下記の図表は、某オフィス家具メーカーで一緒にオーダーされるアイテムの組み合わせ頻度を相関率でランキングし、共通パターンを見つけ出そうとしたものです。
その結果、レターケースとオプション仕切り板の組み合わせがトップで42%の相関率でした。レターケースを購入するお客さまのうち42%はオプション仕切り板も同時に購入する傾向にあることがこのデータで分かります。
こうしたオーダーの需要相関データはこれまでマーケティング部門で利用されることはあっても、物流部門で利用されるケースはほとんどありませんでした。しかし、利用する意味は大いにあります。
例えば、この需要相関データを利用し、相関率の上位の商品同士を同じゾーンに保管する方法があります。相関率の高い商品同士をなるべく同じゾーンに保管することで、結果としてピッカーは短い距離で多くのアイテムをピッキングすることが可能になります。
一方で需要相関が小さい商品は、ゾーンを分けることでピッカーの渋滞緩和になります。しかし、多くの倉庫では、アイテムごとやアイテムカテゴリーごとにゾーン分けされるため、需要相関が小さい商品が同じゾーンに保管されています。
アパレル業界で最小の相関はサイズです。色違いのTシャツを同時に購入する人はいるかもしれませんが、サイズ違いのTシャツを同時に購入する人は少ないでしょう。にもかかわらず、サイズ違いの商品が同じゾーンに保管されるため、ピッカーの移動距離が増え、ピッカーが渋滞する可能性が高くなります。
これは一例ですが、データ活用はロジスティクス戦略にも欠かせなくなっています。
東 聖也
株式会社オンザリンクス
代表取締役
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