在宅介護で父親のオムツ替え…息子が一大覚悟でやった結果は

相沢 光一
在宅介護で父親のオムツ替え…息子が一大覚悟でやった結果は
(※画像はイメージです/PIXTA)

※本連載は相沢光一著『介護を左右する 頼れるケアマネ 問題なケアマネ』(河出書房新社)より一部を抜粋、再編集したものです。登場するケアマネの方々、サービス事業者の方々のお名前は、すべて仮名です。

ケアマネと介護者の温度差がサポートの質を下げる

介護生活が始まると、その担い手である家族には、さまざまな物理的、精神的負担が押し寄せてきます。突然始まった場合はあわてることばかりで、とても平静を保つことができませんし、あるていど準備期間があった場合でも、じっさいに介護が始まってみると思わぬ事態に直面し、不安に襲われるものです。

 

ケアマネは「居宅介護支援専門員」という資格の名称が示すとおり、介護の知識や経験によって身につけた知恵やスキルを総動員して、要介護者(サービス利用者)とその家族を支援する専門家。利用者本人と家族の負担や不安を軽減するのが役割です。

 

介護保険制度の目的は自立支援です。加齢によって心身が衰え、要介護になった人の尊厳を守り、残った能力に応じて自立した日常生活が送れることをめざしています。つまり、少しでも心身の状態を良くするのが目的なのです。

 

ケアマネもその目的に従い、必要な介護サービスを組んだケアプランをつくり、サービス事業者を招集。さまざまな専門スキルをもつ人たちでチームをつくり、利用者が自立した生活ができるようサポートするわけです。

 

ケアプランに理学療法士や作業療法士によるリハビリを組みこむことが多いのも、そのためです。また、高齢者施設のなかに数えられる老人保健施設(老健)は、在宅でのリハビリが難しくなった人に、設備やスタッフがそろったところでリハビリを受けてもらう施設。元気になって在宅復帰をめざすところです。

 

このように、ケアマネは要介護になった人の状態をどうしたら良くできるかを考え、ケアに当たることが大前提になっているのです。

 

そしてじっさい、要介護度3だった人が2へ、2だった人が1へと軽くなることがあるそうです。要介護度が改善されることは、その人へのケアの負担が軽減されることでもあります。

 

ところが世間の大方の「介護」に対する認識は、状態を良くするという前向きなものではありません。その人が亡くなるまでの「経過期間」という受けとめ方をしている人が大半でしょう。たしかに状態が好転するケースは少ないですし、多くは現状維持か悪化の方向へ進む。そう受けとめざるをえないのが現実です。

 

しかし、この温度差があることが、ケアマネと介護をする人(介護者)の相互理解を阻み、より良い介護につながらないケースが多くなる原因となっているように思われるのです。

 

頼れるケアマネは、ケアプランにリハビリを組みこむ提案をするさいに、「利用者の状態を改善するのが目的」だと説明するはずです。それを聞いた介護者が、要介護になった老親に愛情をもち、産み育ててくれたことを感謝し、長生きしてほしいと思っている人なら、少々つらいことはあっても前向きにケアに取り組むはずです。良い介護ができるわけです。

 

ところが、ダメなケアマネの場合、「介護サービスは利用者の状態を良くする目的で行なうもの」ということをていねいに説明する人が少ないそうなのです。介護者が親に愛情があるとは限らず、介護を「大変なことを背負いこんでしまった」とネガティブにとらえている人が多いことから、説明しても仕方がないと思っているのかもしれません。

 

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介護を左右する 頼れるケアマネ 問題なケアマネ

介護を左右する 頼れるケアマネ 問題なケアマネ

相沢 光一

河出書房新社

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