※画像はイメージです/PIXTA

米国で30年以上研究者として活躍し、現在はスタンフォード大学医学部で教鞭をとる筆者が、仕事を極限まで効率化して最大の成果を得る、具体的なビジネススキルを公開! スタンフォード、シリコンバレー流「個人主義・成果主義」のスゴさとは?※本連載は、スタンフォード大学教授、医学博士の西野精治氏の著書『スタンフォード式 お金と人材が集まる仕事術』(文藝春秋)より一部を抜粋・再編集したものです。

アメリカの研究は、学内での「起業」と同義

スタンフォード大学で研究所を立ち上げることは、起業することとほぼ同じです。

 

「私はこのテーマについて研究したい。それに当たってこのような方法で資金を調達した。研究員はこんな人材を確保する」

 

詳しい審査方法は後ほど説明しますが、こうした申請が大学に認められてポジションが作られ研究がスタートします。しかし、資金調達は簡単ではありません。大学の認可がいるとはいえ、大学に研究資金をもらうわけではないためです。

 

アメリカの医学研究の資金調達方法は主に二つです。一つ目は、連邦政府から助成金を得ること。NIH(National Institutes of Health:アメリカ国立衛生研究所)やNSF(National Science Foundation:アメリカ国立科学財団)などの機関に、自分がやりたい研究内容を申請して認められ、政府から研究費が下りるというものです。

 

二つ目は、一般企業から委託研究として研究費をもらうケースで、これは「この研究には将来性がある、社会的意義がある。ぜひ研究費を援助してください」と働きかけるわけで、起業家が投資家を口説くようなものです。大学がプールしている資金が下りることもありますが、それは主に新任教授の研究室のセットアップのためのもので、基本的には外部から研究費を獲得してくるのが原則です。政府助成金にしろ一般企業にしろ、日本円で数千万から億のお金が動くのですから、相手はそう簡単に研究を認めて資金提供してくれるわけではありません。

 

「やってみたいな、できたらいいな、面白そうだな」という漠然とした気持ちでは説得はままならず、スタートラインにすら立てない。運よく研究所を立ち上げることができても、資金調達もマネジメントもできなければたちまち潰れてしまいます。研究テーマを自分で決められることは自由と言えますが、その自由は最初から責任を伴っているのです。

 

最近ではワシントン大学で生命科学を専攻していたシンディー・ウー氏とデニー・ルアン氏が、大学院修了後の2012年に米国ワシントン州シアトルにて、米国の学術系クラウドファンディングサイト「Experiment」を創業し、新しい研究支援の形式も始まっていますが、個々の研究費の額は非常に少なくて(900のプロジェクトに総額で9億円程度)、額としてはフェローシップの域を出ません。

 

 

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スタンフォード式 お金と人材が集まる仕事術

スタンフォード式 お金と人材が集まる仕事術

西野 精治

文藝春秋

スタンフォード大学で学んだ著者が説く、仕事術! 著者がアメリカトップの大学の一つであるスタンフォードの門を叩いたのは1987年のこと。それから多くの蒙を啓かれること30年余、真の成果主義や個人主義について学びました…

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