(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

中国恒大が経営危機に

■中国の大手不動産開発業者である中国恒大(チャイナ・エバーグランデ)が経営危機に陥っており、債務が不履行に陥るとの懸念が高まっています。同社は好調な中国の不動産市場を背景に債務を膨らませ、事業拡大にも積極的でした。その拡張的な経営方針も原因となり、中国景気の下振れリスクが懸念される状況で経営危機に陥っています。

 

■20日の株式市場では、同社の債務問題が中国経済全体や金融システムに波及するとの懸念等により、世界の株式市場が下落しました。

 

(注)データは2021年1月1日から9月20日。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
米欧の株価指数 (注)データは2021年1月1日から9月20日。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

債務の一部は不履行へ

■2022年3月に償還を迎える中国恒大のドル建て社債の価格は100ドルの元本に対して25ドルほどで推移しており、実質的に債務不履行が織り込まれている状況と考えられます。債務の一部が不履行や支払い猶予になる可能性は高く、長期的にも倒産に至る可能性があります。

 

(注)データは2021年1月1日から9月20日。 社債は2022年3月償還のドル建て債。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
中国恒大の株価と社債価格 (注)データは2021年1月1日から9月20日。社債は2022年3月償還のドル建て債。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

経済や銀行システムが危機に至る可能性は低い

■ただし、中国恒大は手元の現金は不足しているものの、優良な不動産を多数保有しており現時点では債務超過ではないと判断されます。中国金融当局はモラルハザードを回避するため直接的な支援は行わないと考えられますが、国営銀行に対して融資の回収を行わないように指導することなどで短期的な倒産を回避すると見られます。中国不動産業界全体では債務問題が切迫している状況にはなく、今回の危機は同社の経営方針に起因するため、中国経済や銀行システムに大きな影響を及ぼす可能性は低いと見ています。

 

■中国恒大の経営危機により不動産開発業者の財務状況への関心が高まるため、一時的に住宅購入の手控えがおこる可能性があります。しかし、中国における住宅購入需要は堅調で、財務状況が健全な業者の開発意欲も引き続き高いことから、中国の不動産業界に及ぼす影響も長期化しないと見ています。

 

 

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国恒大の経営危機で世界の株式市場が下落』を参照)。

 

(2021年9月21日)

 

関連マーケットレポート

2021年9月16日 8月の中国経済は減速

2021年9月14日 『ベトナム株』、コロナ感染で調整も長期的な好環境は不変

【ご注意】
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友DSアセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料は三井住友DSアセットマネジメントが信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧