中国恒大が経営危機に
■中国の大手不動産開発業者である中国恒大(チャイナ・エバーグランデ)が経営危機に陥っており、債務が不履行に陥るとの懸念が高まっています。同社は好調な中国の不動産市場を背景に債務を膨らませ、事業拡大にも積極的でした。その拡張的な経営方針も原因となり、中国景気の下振れリスクが懸念される状況で経営危機に陥っています。
■20日の株式市場では、同社の債務問題が中国経済全体や金融システムに波及するとの懸念等により、世界の株式市場が下落しました。
債務の一部は不履行へ
■2022年3月に償還を迎える中国恒大のドル建て社債の価格は100ドルの元本に対して25ドルほどで推移しており、実質的に債務不履行が織り込まれている状況と考えられます。債務の一部が不履行や支払い猶予になる可能性は高く、長期的にも倒産に至る可能性があります。
経済や銀行システムが危機に至る可能性は低い
■ただし、中国恒大は手元の現金は不足しているものの、優良な不動産を多数保有しており現時点では債務超過ではないと判断されます。中国金融当局はモラルハザードを回避するため直接的な支援は行わないと考えられますが、国営銀行に対して融資の回収を行わないように指導することなどで短期的な倒産を回避すると見られます。中国不動産業界全体では債務問題が切迫している状況にはなく、今回の危機は同社の経営方針に起因するため、中国経済や銀行システムに大きな影響を及ぼす可能性は低いと見ています。
■中国恒大の経営危機により不動産開発業者の財務状況への関心が高まるため、一時的に住宅購入の手控えがおこる可能性があります。しかし、中国における住宅購入需要は堅調で、財務状況が健全な業者の開発意欲も引き続き高いことから、中国の不動産業界に及ぼす影響も長期化しないと見ています。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国恒大の経営危機で世界の株式市場が下落』を参照)。
(2021年9月21日)
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