※画像はイメージです/PIXTA

歯科矯正として現在も多く行われている「ワイヤー矯正」は、100年以上もの歴史を持つ伝統的な治療法であり、職人気質な矯正が多く活躍しています。しかし、デジタル化の時代、職人的な医師の技術とデジタル技術が合体することで、患者の負担が少なく、満足度の高い治療が実現できる可能性があるのです。歯科医師が解説します。

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経験と技術を頼りに歯の動きを予測…職人気質な矯正医

インビザラインが登場するまでの矯正医は、歯の模型をもとに「こっちに動かせばいいのではないか」「ここに力を加えたら希望どおりに動いてくれるのではないか」と、自身の経験と技術だけを頼りに頭のなかで歯の動きをシミュレーションして矯正治療を実施してきました。

 

医学がこれだけ進歩しているのにだいぶアナログなことをしていると驚かれるかもしれませんが、こうした職人気質なところが、矯正医のプライドを保っていたという面もあります。

 

ところが、インビザラインの場合はコンピュータの画面上に出てくる3Dをもとに、考えなければなりません。

 

これまでの概念も道具もすべて変えて新たな知識を取り入れるのは、矯正医としての経験が長ければ長いほど大変なことです。それぞれの医師たちは自分がこれまでやってきた実績に誇りをもっていますから「機械ごときに負けない」という意地も芽生えてしまうのです。なかなかインビザラインを始める矯正医が増えない理由はここにあるのではないかと私は考えています。

 

しかし、いまはあらゆる分野にデジタル化の波が押し寄せていて、歯科矯正もその流れに逆らうことはできません。「ワイヤー矯正には100年以上の歴史があるからすごいんだ」と、そこに固執する理由はもはやないと思います。いいものはどんどん取り入れてこそ、歯科業界の未来は明るくなっていくはずです。

 

また、日本各地の矯正歯科医の多くが所属する学会という団体のあり方にも、インビザラインが浸透しない理由があるのではないかと思っています。学会では年功序列が基本で、上の立場には年配の方が多くいます。つまり、ワイヤー矯正に関してはかなりの知識と経験、技術を持ち合わせている方がたくさんいるということです。

 

そして長年築き上げてきたワイヤー矯正の技術に固執するあまり、インビザラインのような新しい方法を受け入れまいとしている人もいます。その証拠に、いまでもある学会ではインビザラインを正式な矯正治療の方法として認めていません。認定医の症例にマウスピース矯正で治療したものは含まれませんし、マウスピースは日本では医薬品医療機器等法対象外の装置であることから、危険視すらしている人もいるのです。

 

もちろん、年配の方でもインビザラインを積極的に取り入れている医師もたくさんいますから、一概にはいえません。しかし、矯正医としての道を歩む以上は学会のいうことに従い、ワイヤー矯正を選んだほうがいいと判断する医師が多いのです。

 

私は、ワイヤー矯正の優れている点ももちろん理解しており、これまで数多くの先達が大切に築き上げてきたワイヤー矯正の歴史があるからこそ、現代でも数多くの矯正医たちが活躍できているのだと、感謝もしています。それでも、これからの時代はインビザラインのようなマウスピース矯正が主流になると思うのです。一日も早く学会の方々にも認められる日が来ることを願ってやみません。

 

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※本記事は、『口元美人を叶える インビザライン矯正治療』(幻冬舎MC)より抜粋・再編集したものです。

口元美人を叶える インビザライン矯正治療

口元美人を叶える インビザライン矯正治療

三嶋 一平 著
村津 大地 監修

幻冬舎メディアコンサルティング

アメリカで開発されたマウスピース矯正治療“インビザライン"は、患者さんの口腔内を3Dスキャナーで読み取ってオーダーメイドの透明なマウスピースを作成し、マウスピースを取り替えながら歯を動かし矯正していきます。さらに…

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