(※写真はイメージです/PIXTA)

日本ハムは今、北海道北広島市に、球場を核とした“新たな街”を創造しています。これは決して「札幌ドームでは思うようなビジネス展開ができないから」ではなく、日ハムにとって次のビジネスチャレンジです。とはいえ、なぜ球団が、球場だけでなくその周辺を含めた大規模なエリア開発にまで挑むのでしょうか? プロジェクトの“総指揮者”ともいうべき(株)ファイターズ スポーツ&エンターテイメント取締役事業統轄本部長・前沢賢氏に取材してわかった、従来の「球団」という枠組みでは決して捉え切れない壮大なプランの一部を、本稿で見ていきましょう。

日ハムが「20ヘクタール以上の土地」にこだわったワケ

前沢は、メジャーの“最前線のビジネス”を、自分の目で確かめてきたのだ。

 

「ぶっちゃけ、知らなかったんですよ、行くまでは。今みたいに説明したみたいな内容まで、そうだと思って行ってなくて、いろんな球団と話していくと、自分たちの思い描いたことは、間違いじゃないんだというのと、ちょっと先行してやっている事例がいくつかあるんだなと。それが自信というか、確信になったというのはありますね」

 

だから、新球場の候補地として、前沢は「20ヘクタール以上」と指定したのだ。

 

「だいたい球場だけだと、3.5へクタールから5ヘクタールでできるんです」

 

ちなみに、東京ドームは4.68ヘクタール、甲子園球場は3.85へクタールだ。

 

「じゃあ、なぜウチは5ヘクタールの場所を探さないで、20ヘクタール以上と区切って探したのか。理由は2つです。1つは、この3.5ヘクタールだけ、一生懸命やったって何の意味もない。そのうち、先細りしてしまうのは分かっていたんです。

 

もう1つ。シカゴ・カブスとボストン・レッドソックスのことですね。球団の歴史は100年以上ありますけど、彼らが今、何をやっているかというと、もともと小さな球場でビジネスをしながら、ここ5、6年の話ですが、周辺の土地を買収し出したんです。街づくりというか、不動産開発業になっているんですよ。

 

最初、その恩恵を彼らは受けられなかったんです。なぜなら、土地を持っていなかったからなんです。結局高くなっているときに周辺の土地を買収していくんですが、それで街づくりをしている。だから、20ヘクタールは必要だねって、20へクタール以上の場所を探したんです。

 

別に誰かが突飛な考えでやっているわけではなくて、必然です。やりこんでいくと、そこへ行きつくと思うんです。これがたぶん、話のすべてだと思うんですけどね」

 

スタジアム・ビジネスから、これを核とした街づくりへ。つまり『球場のある街』のグランド・デザインへと、球団ビジネスは広がりつつあるのだ。

 

 

喜瀬 雅則

スポーツライター

 

 

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喜瀬 雅則

PHP研究所

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