(※写真はイメージです/PIXTA)

福岡ソフトバンクのエンタメビル「BOSS E・ZO FUKIOKA」、北海道日本ハムの「街づくり」など、各球団がこれまでにない新しい経営戦略に取り組んでいます。12球団の中でも、野球以外のエンターテインメントの分野で、他球団とは異なる特徴的な取組みを行っているのがオリックス・バファローズ。野球とエンタメのコラボが生み出す相乗効果を、オリックスの応援団「BsGirls」を例に見ていきましょう。

 

※本連載は、喜瀬雅則氏の著書『稼ぐ!プロ野球』(PHPビジネス新書)より一部を抜粋・再編集したものです。

他球団とは違う「ファン拡大戦略」の象徴、BsGirls

オリックスは、野球以外のエンターテインメントの分野で、他球団とは違った、特徴的な、少し趣向を変えた取り組みを行っているケースが多い。その象徴的な存在が「BsGirls」の存在だろう。

 

球団チアは12球団のうち、広島以外の11球団が持っているが、「BsGirls」のメンバーは全員が芸能事務所の「エイベックス」に所属している。

 

毎年メンバーの入れ替えがあり、2019年(令和元年)のオーディションには1170人の応募があり、そこから14人が厳選された。2021年(令和3年)のシーズンには結成8年目を迎えるが、2020年までにシングル7枚、アルバム4枚が発売されており、オリジナル曲も40曲を数える。

 

これをオリックス・バファローズの球団社長・湊通夫は「蕎麦屋の蕎麦とつゆ」にたとえる。

 

「蕎麦屋に行って、つゆだけを頼む方はいない。あくまで蕎麦が主食ですよね。でも、つゆが美味しいことも売り物になるし、ワサビが美味しいのも商品として売れる。メーン料理はあくまで野球。でもイベントが楽しければ、主食以外でも楽しんでもらえますから」

 

その“美味いワサビ”はいまや、オリックスの名物商品に成長している。

 

メンバーのマネジメントを担当するエイベックス・エンタテインメント関西支社のチーフプロデューサー・東洋一(ひがしよういち)は「選手よりも目立ってはいけない。でも『ワサビ』として、球団が彼女たちに望んでいるのは集客。彼女たちを目当てにドームに来て、野球も好きになってくれる。その流れでもいいわけですよね」。

 

そこで、こうした新たなコンセプトを掲げた東が、最初に打ち出した方針は「ポンポンを持たせない」ことだった。

 

スポーツの応援といえば、チアリーダーがポンポンを持って踊るという『型』のようなものがあるのも確かだが「12球団初のことをしようと。それでないと、オリックスでやる意味がないと思った」と東はいう。

 

だから、球団もエイベックス社も「BsGirls」は「チア」ではなく「ダンス&ヴォーカルユニット」と呼ぶ。

 

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稼ぐ! プロ野球 新時代のファンビジネス

稼ぐ! プロ野球 新時代のファンビジネス

喜瀬 雅則

PHP研究所

「野球」だけがビジネスではない! データ活用、SNS戦略、グッズ展開、コミュニティ…利益と熱狂を生み出す“勝利の方程式”とは? プロ野球を見れば、いまのビジネスがわかる――。少子高齢化に伴う「野球離」が進み、…

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