(※写真はイメージです/PIXTA)

診療報酬の削減やコロナ禍による受診控え、それに伴う「長期処方患者」の増加…。クリニックの経営環境は苦しくなる一方です。コロナ禍が収束すれば経営状況も回復すると考える医師も少なくないようですが、開業医の未来は、決して楽観視できるものではありません。ただ診察をこなすだけでは淘汰される時代において、クリニック経営者に求められるスキルや姿勢とはどのようなものでしょうか。

「患者を大切にすること」と「利益追求」は表裏一体

医師が診察をこなすだけで高収入を得られる時代は、すでに終わりました。これからは、創意工夫をこらし一生懸命に集患を行わなければ、「下流医師」に転落する危険性が大きくなります。

 

そんな未来の医師にとって何より欠かせないのは、「経営力」です。

 

現代日本では、医師がお金について語ることをよしとしない風潮があります。「医は仁術」という言葉のとおり、金銭を追求したりせず、患者を全力で診察することが大事だというのです。

 

しかし私は、こうした考え方に賛成できません。私自身も、患者は大切にすべきだと信じています。

 

ただ、患者のために全力を注ぐことと利益向上を目指すことは、必ずしも矛盾しないと思うのです。

 

クリニックの経営状態が悪化すれば、スタッフの待遇悪化や解雇などの恐れが高まります。当然、スタッフにはつらい思いをさせますし、医療の質も下がって患者に迷惑も掛けてしまいます。

 

また、万が一クリニックが倒産や廃業に追い込まれたら、地域の医療体制にも悪影響を与えます。患者のために尽くしながら、同時に、経営についても真剣に考える。それが、これからのクリニックにとって必須の態度です。

 

医師の知的水準は高いため、医師が開業する際にはその頭脳を働かせてきちんと利益を上げられるか検討するものです。

 

ところが、ほとんどの医師には経営力が欠けているため、ピントのぼけた分析をしがちです。

 

その結果、人通りはそれなりに多いが、高齢者ばかりで子どもが少ない地域に小児科医院を開業するなどの失敗をしてしまいます。

 

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※本連載は、鈴木幹啓氏の著書『開業医を救うオンライン診療』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

開業医を救うオンライン診療

開業医を救うオンライン診療

鈴木 幹啓

幻冬舎メディアコンサルティング

「3分診療」で収益倍増! 1日で最大350人もの外来患者を診る地方開業医が、開業医受難時代の起死回生の一手を語る。 新型コロナウイルス感染拡大で多くの患者が受診控えを行ったことにより、開業医は苦境に立たされてい…

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