5―新型コロナワクチン接種意向とインフルエンザワクチン接種及びアナフィラキシーショックへの注目
では新型コロナワクチンの接種意向とインフルエンザワクチンの接種傾向及びアナフィラキシーショックへの注目の間にはどのような関係が見られるのか。
それを確認するために、被説明変数を新型コロナワクチンの接種意向の有無(接種意向がある場合に1を取るダミー変数)、説明変数をインフルエンザワクチン接種有無(普段から接種している場合に1を取るダミー変数)及び、回答日当日のアナフィラキシーの注目度(Googleトレンドの人気度の数値)とした線形確率モデルおよびプロビットモデルによる推計を行った。推定結果は図表4の通りである。
まず、すべての推定でインフルエンザの予防接種と新型コロナワクチン接種意向には正に統計的に有意な関係があることが関係された【図表4(1)~(2)】。つまり、インフルエンザの予防接種を受けている人は、受けていない人と比べて新型コロナワクチンの接種意向が高い。
また、列3と列4にみられるように、アナフィラキシーへの注目が高まることは、新型コロナワクチンの接種意向と有意な関係は見られないものの、列5と列6のようにインフルエンザの予防接種とアナフィラキシーへの注目の交差項は負で統計的に有意であり、インフルエンザの予防接種を普段からおこなっている人は、アナフィラキシーへの注目が高まると、新型コロナワクチン接種意向が低くなる傾向が見られた【図表4(3)~(6)】。
6―おわりに
本稿では、ニッセイ基礎研究所独自のWEBアンケート調査のデータを用いて行った分析から、普段からインフルエンザの予防のためにワクチンを接種している人は、新型コロナワクチンの接種意向も高いことを確認した。
これは、ワクチンで感染症を予防しようとする人と、必ずしもそうではない人がいることを示していると考えられる。インフルエンザのワクチン接種の経験をしたことで、ワクチンの効果を実感した経験がある可能性もある。
さらに、インフルエンザワクチンを接種している人では、新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシー発生事例に関する情報に対して、敏感に反応していた可能性があることを確認した。
インフルエンザワクチンを接種している人は、相対的に新型コロナワクチンについても接種を検討していた人が多かったからこそ、接種後の副反応についても、より関心が高かったと考えられる。
このことは、新型コロナワクチンの接種について、アナフィラキシーを含めて副反応についての情報が増えている中で、予防効果を認識しつつも、アナフィラキシーを含めた副反応への不安から接種に踏み出せない人がいることを示唆していると考えられる。接種拡大を進めるにあたり、丁寧な情報開示の重要性を改めて確認した結果といえるだろう。
村松 容子
ニッセイ基礎研究所
岩﨑 敬子
ニッセイ基礎研究所
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