ロータリークラブ年末の最終行事はクリスマス家族例会
毎年、年末の最終例会は、夜に行われるクリスマス家族例会だ。この例会には、会員のほかにその配偶者、子、孫までが自由に出席できる。もちろん会費は掛かるが極めて安価だ。日頃、ロータリアンが夜な夜な遊び(いや、ロータリー活動)に出られるのも家族の理解があってのこと。その家族に対する一年に一度の罪滅ぼしの夜間例会だ。
特に配偶者の方々には気を遣う。この日ばかりは配偶者の立場は、王様、いや女王様だ。彼女たちの深層心理に刷り込まなければならないのは、
「ロータリーの会合っていつもこんな子供じみたことをやっているのね。毎晩、ロータリーの会合だって言って遅いけど、それは本当だったのね。さっきは〇〇さんが先日は先輩にお世話になりました、と言って私に感謝していたわ。これなら安心ね。変な女遊びをするくらいなら、ロータリーの会合に出ている方が健全よね……」
という安心感を与えることと共にロータリー活動に対してさらなる協力(資金と時間)を引き出すことだ。そのために、親睦委員会は最大限のおもてなしを企画する。
やっぱり一番楽しんでもらいたい対象は、子供やお孫さんたちだ。親睦委員会のメンバーは、トナカイやウサギなどの着ぐるみを着て子供たちを迎える。
会長は、サンタクロースの着ぐるみを着てプレゼントを手渡す。プレゼントは、事前に出席する子供たちの年齢、性別を調べ、その好みの品々を用意する。
親睦委員会メンバーには比較的若い会員もいるから、自分の子供たちに聞いて全般的に好まれるプレゼントを用意しておく。
子供たちを大切にするのには真面目な理由がある。僕たちが子孫に残せる財産のうち一番大切なモノは何か? それは経済的な資本ではなくて文化的な資本だとする説(フランスの著名な社会学者P・ブルデュー提唱)がある。
小さい頃から良質な環境で育てられ、常に楽しく上流の生活を過したという記憶や体験こそが、子供に残すべき財産であるという説だ。
だから、祖父も父もロータリアンであったという人に会って感じるのは、その自然な上品さにおいて僕とはステージの違う生き方をしてきた人に見えるのだ。ロータリアンも三世代くらい続かないと本物にはなれないのかも知れない。
デパート店長「この年代の奥様に流行りの品物は…」
一方、配偶者(奥さま)の方々には会員(夫)から内密に調査してもらった嗜好を聞いておいてプレゼントの準備をする。たまには思惑が外れることもあるが、その時は会員自身の事前調査が甘かったのだと言って諦めてもらう。
このとき、力を発揮するのが、会員のなかの某有名デパートTS屋の店長だ。
会員のなかには、彼のように有名大企業の支店長が何人かいる。彼らは、社命によりうちのロータリークラブに入会している。本人が転勤になっても後継の店長は社命により必ず入会してくれる。
その意味では、県庁所在地などの都市にあるクラブは、有名大企業(銀行、証券会社など)の支店があるという地理的条件に恵まれているから、会員数、会費収入などに苦労することは少ない。
ただ、彼らが地元にいる期間はおよそ三年くらいだから、クラブの枢要な役職には就けにくいという難点もある。彼らを「企業族」とか「転勤族」とか呼んでいるが、決して蔑称ではない。
僕らの本心は、彼らが本社に戻り、大企業の役員になっても、僕らとの親交が継続することを望んでいるのだ。なかには社長まで昇り詰めても、以前と同様の親交のある友人もいる。これこそロータリーの醍醐味だと思う。
話を戻すと、先の店長に頼めば、「誰それの奥さまは先日このような品物にご興味がおありでした」とか、「この年代の奥さまにはこういった品物が流行りです」といった情報が手に入る。だから、そこの店長は歴代、親睦委員会のメンバーに入ってもらうのだ。
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