実態調査のため…ロータリークラブからインドへ派遣
国連創立四〇周年を記念して、来るべき新世紀に、数多くある地球上の伝染病の中から“ポリオ”を撲滅(acute anterior poliomylitis)しようという遠大な計画『polio plus campaign』が、WHOによって構想されました。
実態調査をしなくてはいけないわけです。世界規模になりますから、その担い手をどうしようかということになりました。そのとき手を挙げたのが、“ロータリー”です。いわゆる“ロータリークラブ”は、全世界に幅広い組織を持っています。そのため、国際ロータリー財団の奉仕活動の一環として、この実態調査を進めてまいりました。
そのロータリークラブのうち、日本とカナダが共同グループで、インドをターゲットに計画を進めることになりました。当初、東京麹町ロータリーに所属する二人の医師が、先遣隊として南インドへ調査に行きましたが、帰京された後に、原因不明のまま二人とも他界されました。
このため、その後のインド行きを在京の方々は尻込みされ、致し方なく沖縄のロータリークラブにお鉢が回ってきました。原因不明のまま死去された二人のことがありましたから、県内のロータリアンも積極的な参加者がいません。そのとき、私がたまたま那覇西ロータリークラブの国際奉仕委員長をしておりましたので、幹事ともどもインドに行くと手を挙げました。
ポリオの実態…発生しやすい場所とその危険性
ポリオは今日、多くの先進諸国においては、予防接種などの実施によって暫時罹患者数が減少しており、すでに希少な病気として、もはや過去の伝染病となりつつありますが、多くの発展途上国では依然として猛威をふるっています。古い統計ですが、一九八六(昭和六一)年度の推計では、地球上で新しく二十数万人が発症したといわれます。
したがって、ポリオ多発地帯では、予防接種を受ける機会に恵まれない乳幼児の多くが、いつポリオに罹患してもおかしくない危険性をはらんでいます。感染後、幸いにして一命を取り留めることができたとしても、何らかの形で体に障害を残すことが予測されます。
新世紀を担う子供たちをポリオから守り、幸福をもたらすためには、集団的な予防法が最も大切で、ワクチン接種が現在、世界各地で精力的に推進されています。