「わたしの悪口を言っている。」発達障害の女性が急変…現れた姿に、医師が愕然としたワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

小児科医である大宜見義夫氏の著書『爆走小児科医の人生雑記帳』より一部を抜粋・再編集し、子どもたちとの心の触れ合いを紹介します。

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対人恐怖を一気に乗り越えた若い女性

Sさんは今年十九歳になる清楚な女性である。

 

小学六年の春、大病をわずらい三か月間学校を休んだことからクラスになじめなくなり、不登校状態に陥った。

 

きっかけはコミュニケーションの微妙なズレや行き違いからクラスメイトに嫌みを言われたり、冗談で絶交のポーズをとられてからかわれたり、いきなり後ろから背中を押されパニック状態になったなどの惨めな思い出があったからだという。

 

幼少の頃から大勢の人がいる所が苦手で、物音や人の声に敏感だった。特に後ろに人の気配があるとすごく気になり、しきりに後ろを振り向く癖があった。

 

中学時代になると、またいじめられはしないかという不安と担任の怒鳴り声に萎縮し、不安がつのって登校がきつくなった。中学二年になると寝つきの悪さも加わって、ほとんど登校出来なくなった。

 

Sさんには幼少期から発達障害の特性があった。

 

音にすこぶる敏感だったこと、こだわりが強かったこと、極端な偏食だったこと、保育園にはなかなか慣れなかったことなどから発達障害が疑われ、検査を受けて、高機能自閉症の診断をうけた。

 

中学卒業後、通信高校に進学したものの対人不安はさらに昂じた。

 

スクーリングに参加した際、まわりの子がクスクス笑っても「自分のことを笑っているのではないか」と勘ぐったり、街中を歩いても「自分の悪口を言っているのではないか」とおびえ、「自分はブスだ」という醜形恐怖に陥り、マスクをつけないと外出できなくなり、とうとう通信高校も中退せざるを得なかった。

十九歳になったある日…彼女の姿に衝撃を受けたワケ

そういう彼女ながら、対話を重ねる内に自己洞察を深めていった。

 

十八歳になってまもなく、別の通信高校に転籍し、韓国語の勉強を始めた関係で韓国人のネット友達もできた。

 

十九歳になったある日、突如彼女が髪型を整え、明るいオシャレな服を着こなし、薄いピンクの口紅をつけて外来に現れた。

 

別人かと思わせるほど華やいだ雰囲気を漂わせ、身のこなしもどこか自信にあふれていた。お化粧したことで、これまで一人では行けなかった通信高校のスクーリングにも参加できたという。

 

あまりの急変に唖然とする私を前に彼女はこう言った。

 

「これまでまわりの雰囲気に押されていたが、今では派手な人にもあんまり怯えなくなった……」

 

母親の話では、化粧するようになってから急に変わり始めたという。

 

化粧をし、おしゃれになり、自分に似合う服を着るようになってから自信が芽生えたのか、外出が増え、店に入っても店員と対等に話せるようになった。

 

韓国人の友達とメールでやりとりするうちにおしゃれやお化粧に興味を覚え、ネットで化粧法を学び、化粧道具を集め、思い切って化粧にチャレンジしたのだという。

 

お化粧が女性を一変させる魔法のような力を持っていることを改めて知った。

 

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大宜見義夫(おおぎみ よしお)

 

1939年9月 沖縄県那覇市で生まれる
1964年 名古屋大学医学部卒業
北海道大学医学部大学院に進み小児科学を専攻
1987年 県立南部病院勤務を経ておおぎみクリニックを開設
2010年 おおぎみクリニックを閉院
現在 医療法人八重瀬会同仁病院にて非常勤勤務
医学博士
日本小児科学会専門医 日本心身医学会認定 小児診療「小児科」専門医
日本東洋医学会専門医 日本小児心身医学会認定医
子どものこころ専門医
沖縄エッセイストクラブ会員
著書:「シルクロード爆走記」(朝日新聞社、1976年)
「こどもたちのカルテ」(メディサイエンス社、1985年。同年沖縄タイムス出版文化賞受賞)
「耳ぶくろ ’83年版ベスト・エッセイ集」(日本エッセイスト・クラブ編、文藝春秋、1983年「野次馬人門」が収載)

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著者紹介

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※本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『爆走小児科医の人生雑記帳』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。
※「障害」を医学用語としてとらえ、漢字表記としています。

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