仲介業者が予約金を払って「売る権利」を押さえる理由
筆者の経営する不動産売買仲介会社「ハロハロホーム」では、未販売のアヤラの物件を売る権利を15ユニット押さえていましたが、この物件の情報を販売前からインターネットで探そうとしても、載っていません。
これから業者にプレスリリース資料が販売当日に出されますが、既に弊社が押さえているため完売という文字が入っています。内部情報の段階で、私たちの会社が予約金を払って取り置きをしているのです。
予約金を払って売る権利を押さえることは、私たちのような仲介業者間では一般的です。なぜかと言えば、フィリピンの不動産は早くて1カ月に1回、段階的に値上げをしていき、竣工時には30%~市場価格が変わるようになっています。それを最安値で押さえるための方法です。
ただ、予約金を払うリスクがあるので、これを押さえられない業者もいます。たとえば前述の話のように15ユニットを先に押さえる場合、ひとつのユニットに対して、だいたい予約金が2万5000ペソ(約6万円)。これを15ユニットで90万円を支払う必要があります。この金額を出せない仲介業者もいるのです。
なお予約金のルールは厳密に決まっているものではなく、デベロッパーや物件によって金額は変わります。日本円で言えば、1ユニットにつき、約5万円から60万円の予約金です。
グレードの高いコンドミニアムであれば、予約金だけで20万ペソかかります。しかもそれが売れない場合はすべて水の泡になりますので、仲介業者はそのリスクも背負うことになります。
最初に予約金を払って取り置きするときには、取り置きに対しての名義が必要になりますので、一旦、私たちの会社での名義人を決めます。そして、頭金が支払われた時点で必ずお客様の名前に名義変更します。
リリースがあってから予約を押さえるまでは、まさに早い者勝ちです。これはインターネットでは入手できない情報となるため、日本の投資家が「ブローカーを通さずに自分で買ってみたい!」と思っても、まず不可能です。
日本人だからといって損や得をすることはない
このように、予約金の段階で、良い物件はすべて埋まってしまいます。たとえば「パーク・トライアングル」という物件は販売3日目で販売ユニット数75%、「アルカサウス」という物件などは初日で販売ユニット数75%が予約されたということです。
もちろん、物件によって人気度は違います。人気を分けるのはロケーションや価格、ブランド力といった物件そのものの魅力にもよりますし、セールスチームの力量にもよります。
セールスチームとは、物件を販売するための営業マンのチームです。フィリピンでは、売り出される物件すべてにセールスチームが組織されます。その種類は、ローカル向け、外国人向けのインターナショナルチームなど様々です。仲介業者ではなくセールスチームも直接物件を販売しています。
よく「日本人だからカモにされる!」とセールスの部分で心配される方がいますが、セールスのインターナショナルチームというのは、「外国の投資家に売る」チームです。英語のレベルは高いですが、特別に日本語ができるわけではありませんし、日本人だけを狙ってセールスしているわけでもありません。
たまに勘違いされている投資家もいますが、日本人だからという理由で特別に優遇される、または値をつり上げることはありません。