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相続開始前10年以内に日本に住んでいる場合には、海外居住者も日本居住者と同じように相続税が課せられます。また被相続人・相続人の双方が海外移住を行わないと、相続税を回避することはできません。海外移住した場合の相続税のルールと注意点について見ていきましょう。

国籍・居住地で変わる、相続税の課税対象財産

相続税の納税義務者は、相続開始時点の被相続人および相続人の、国籍や居住地で分類されます。海外居住者については、日本から転居後の期間が納税義務者の判定に影響し、相続開始前10年以内に日本に住んでいた場合には、国内居住者と同様の扱いとなります(日本国籍を有していない者を除く)。

 

■日本に住んでいる場合には全財産が相続税の対象

被相続人および相続人が日本国内に住んでいる場合、「居住無制限納税義務者」に該当し、被相続人の国内外すべての相続財産が課税対象となります。

 

被相続人が日本に居住し、相続人が海外居住の場合には「非居住無制限納税義務者」に該当しますが、非居住無制限納税義務者についても、国内外すべての相続財産が課税対象です。

 

そのため被相続人・相続人どちらか一方のみが海外移住をしても、もう一方が日本に住んでいるケースにおいては、国内外の相続財産が課税対象となり、相続税を回避することはできません。

 

■海外に移住しても10年間は国外財産も課税対象

「(居住・非居住)制限納税義務者」に該当する場合は、日本国内に所在する相続財産のみが相続税の課税対象となります。

 

しかし、被相続人が日本国籍を有し、相続開始前10年以内に住所があると、相続人の住所地に関わらず(居住・非居住)無制限納税義務者に該当するため、相続税を回避できません。

 

また被相続人が長年海外に住んでいるケースでも、相続人(日本国籍有)が相続開始前10年以内に日本に住んでいると、(居住・非居住)無制限納税義務者に該当するため、国内外すべての財産が相続税の課税対象となります。

 

したがって、被相続人・相続人両方が、少なくても相続が開始する10年前から海外移住をしなければ制限納税義務者には該当しません。

 

■海外資産に相続税が課されないのは海外移住が10年を超えた場合

被相続人・相続人が日本国籍を有している場合には、海外移住してから10年を経過しないと制限納税義務者には該当しません。

 

また日本国籍を有していない被相続人・相続人がいる場合でも、相続開始時点でいずれかが日本に住んでいた場合には、国内外の財産に対して相続税が課されます。

 

なお出入国管理法別表第1の在留資格(外交、医療目的など)で一時的に日本に滞在・居住している人に関しては、相続前15年以内に日本に住んでいた期間の合計が10年以下であれば、制限納税義務者に該当する可能性があります。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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