「アクティブファンド特集」を見る
バイオ医薬品関連企業の株価動向
7月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は小幅に下落しました。
新型コロナウイルスの世界的な大流行(パンデミック)とデルタ変異株の感染拡大が前月に続いて市場の注目を集め、ワクチンの開発・製造に係る企業の株価を押し上げました。こうした状況にもかかわらず、新規株式公開(IPO)の中止や延期はなく、堅調な動きとなりました。
株価が大きく変動した銘柄としては、モデルナ(米国)、バイオヘブン・ファーマシューティカル・ホールディング(米国)、ホライゾン・セラピューティクス(米国)、キメラ・セラピューティクス(米国)などが挙げられます。
モデルナは、新型コロナウイルスのデルタ変異株の世界的な感染拡大が続く中、株価が大きく上昇しました。バイオヘブン・ファーマシューティカル・ホールディングは片頭痛治療薬、ホライゾン・セラピューティクスは甲状腺眼症治療薬の販売が好調との見通しから株価が大きく上昇しました。キメラ・セラピューティクスは健康な被験者を対象にした標的蛋白質分解誘導薬の治験で良好な結果が得られるとの期待から上昇しました。
今後のバイオ医薬品市場見通し
バイオ医薬品セクターについては、短期的には引き続き新型コロナウイルスの感染動向を注視する必要があると考えます。デルタ株のような新しい亜種が優勢となった場合、再び患者数が急増し、さらなる感染対策が求められる可能性があります。他方、アルツハイマー型認知症治療薬アデュヘルム(一般名:アデュカヌマブ)の迅速承認と価格設定は米国連邦議会の監視の対象となる可能性があり、短期的にバイオ医薬品株式市場を大きく変動させる要因となるかもしれません。ただし薬価を巡る動きについては、今後、進められることは間違いありませんが、議会での動きなどを勘案すると急進的なものではなく超党派によるより穏当な内容に落ち着く公算が大きいと考えています。
一方、長期的には、医薬品に関連する医療費についての議論が大きく変化していることがわかります。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む最高の機会となると考えます。
バイオ医薬品関連企業の売上高は相対的に高い伸びが見込まれる
バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました(図表6参照)。
バイオ医薬品関連企業については、①有望な治療薬候補の良好な治験結果の発表、②大型の新薬の承認、③新薬販売開始後の業績寄与の拡大などを背景に、米国企業や日本企業よりも相対的に高い売上高の伸びが見込まれています(図表7参照)。
売上高の伸びに沿って株価も上昇
過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります(図表8参照)。
バリュエーション
新薬の開発動向が順調に推移していることやバイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目されて株価が上昇しており、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)の水準も上昇しています(図表9参照)。
※個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年7月のバイオ医薬品市場』を参照)。
(2021年8月26日)
日本経済の行方、米国株式市場、新NISA、オルタナティブ投資…
圧倒的知識で各専門家が解説!カメハメハ倶楽部の資産運用セミナー
カメハメハ倶楽部セミナー・イベント
【12/10開催】
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【12/10開催】
不動産「売買」と何が決定的に違うのか?
相続・事業承継対策の新常識「不動産M&A」とは
【12/11開催】
家賃収入はどうなる?節目を迎える不動産投資
“金利上昇局面”におけるアパートローンに
ついて元メガバンカー×不動産鑑定士が徹底検討
【12/12開催】
<富裕層のファミリーガバナンス>
相続対策としての財産管理と遺言書作成
【12/17開催】
中国経済×米中対立×台湾有事は何処へ
―「投資先としての中国」を改めて考える