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子のない叔父夫婦と、円満な関係だった甥姪たち
今回の相談者は、50代の専業主婦の福田さんです。親しく交流していた父方の叔父が亡くなり、配偶者である叔母とトラブルになっているということでした。
福田さんの父方の家系は、土地持ちの資産家で、福田さんの亡き父親は長男でした。福田さんは3人きょうだいの末っ子で、上に兄が2人います。亡くなった叔父は、福田さんの父親のいちばん下の弟で、福田さんの長兄と20歳も年齢が離れていないことから、叔父というより兄のような存在として、福田さんのきょうだいと親しく交流してきたといいます。
亡くなった叔父には子どもがいませんでした。そのため福田さんきょうだいは、叔父夫婦から「頼りにしているから」と、ずっといわれていました。
亡くなった叔父は遺言書を残していませんでした。そのため、配偶者である叔母だけでなく、叔父のきょうだいも相続人となります。福田さんの父親は亡くなっているため、福田さんと2人の兄が代襲相続人です。福田さんの父親のきょうだいは、亡くなった叔父のほかに叔母が2人いますが、叔母たちは、「私たちは離れた場所に嫁いだから」といって相続放棄する意向です。
叔父の生前、叔父夫婦と福田さんと2人の兄といっしょに過ごしているとき、叔父は自分亡きあとについて、改まって話をしたことがあります。
叔父は、自分が亡くなったあとも妻を気にかけてほしいこと、妻が亡くなったら、いま暮らしている家のほか、不動産はすべて福田家の血縁に戻したいと考えていることを話しました。そして、それには叔母も同意しました。この話は福田さんきょうだいが叔父のところへ訪れたときに、たびたび繰り返されており、みんなの共通認識となっていると理解していました。
突然の体調悪化で、あっというまに旅立った叔父
叔父が亡くなったのは突然の出来事でした。持病の影響で体調に波がありましたが、そのうち回復するだろうと楽観視していたところ、あっという間に状態が悪化してしまったのです。
しかし、葬儀は福田さんきょうだいの協力もあって粛々と進みました。そして四十九日の法要のあと、相続について話し合いが行われました。
福田さんきょうだいは、現預金のすべてと自宅、駐車場やアパートといった収益不動産を叔母のものとすることを快諾しました。維持が大変な軽井沢の別荘のみ福田さんの長兄が相続し、叔母が亡くなったあとは、遺言で自宅は福田さん、残りは福田さんの兄ふたりに遺贈しようという話で合意しました。
叔母は涙を流して感謝しました。福田さんは、ひとりきりになってしまった叔母が寂しくないよう、時間を見つけては訪問し、食べ物を届けたり、話し相手をしたりしていたのです。
叔母は、相続の手続きは自分の弟が紹介してくれたという司法書士に依頼したと教えてくれました。福田さんきょうだいは叔母に遠慮の気持ちがあり、手続きについての関わりは最低限にとどめ、叔母と司法書士に任せていました。