※画像はイメージです/PIXTA

「自分が死んだ後に家族が相続でもめないようにしたい」「相続税を少なくして家族にできるだけ多くの財産を残したい」などという思いから行われる相続対策。しかし中途半端な知識で行うと失敗することも珍しくはありません。今回取り上げるのは、7つの相続対策の失敗例。その相続対策の何がいけなかったのか、どうすれば失敗せずにすんだのか、見ていきます。

事例④:節税対策のアパート経営で財産が減少した

相続対策には、手持ちの現預金を他の財産に組み替えるといった方法もあります。不動産は相続税の計算上低く評価されるため、相続税の節税に活用できます。生命保険の死亡保険金には非課税限度額があり、現預金を相続させるより相続税が低くなるメリットがあります。

 

しかし、相続対策としての財産の組み替えも期待したとおりの結果にならない場合があります。財産の組み替えが思わぬ結果を招いたケースを2つ紹介します。

 

【事例】

Dさんは相続対策として、代々受け継いできた土地に賃貸アパートを建てました。土地・建物ともに評価額が低くなるので相続税の節税になると思っていました。

 

しかし数年後、Dさんのアパートは空室が目立つようになってきました。入居者を呼び込むために家賃を下げたことで、家賃収入でアパートの維持管理費を賄うこともできなくなってしまいました。

 

節税対策をしたつもりが財産を減らすことになり、Dさんは肩を落としています。

 

【事例④】では、節税対策として始めたアパート経営が財産そのものを減少させる結果になってしまいました。

 

アパート経営は継続的に家賃収入が得られ、相続税評価額が低くなるというメリットもあります。しかし、相続対策や老後の安定収入を目的にアパート経営を始める人が多く、地域によっては入居者の奪い合いが起こっています。

 

アパート経営で思うように収益を上げられなければ、維持管理のために財産を持ち出すケースもあります。アパート経営をやめて土地・建物を売却しようとしても、最初に投資した金額より低い価格でしか売却できないことが大半で、結果として財産が減少してしまいます。

 

【アパート経営で失敗しないために】

・アパート経営は事業であるという意識を持ちましょう。

・不動産業者だけでなく中立的な税理士の意見も参考にしましょう。

 

相続対策としてのアパート経営は節税効果が強調されがちですが、維持管理の手間や空室による収益減少などのリスクもあります。アパート経営は事業であることを意識して、節税効果とリスクを慎重に比較することが大切です。

 

節税対策としてアパート経営を検討するときは、不動産業者だけでなく中立的な税理士の意見も参考にするとよいでしょう。土地の評価方法によってはアパート経営をしなくても十分に評価額を引き下げられる場合があります。

 

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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