※画像はイメージです/PIXTA

「自分が死んだ後に家族が相続でもめないようにしたい」「相続税を少なくして家族にできるだけ多くの財産を残したい」などという思いから行われる相続対策。しかし中途半端な知識で行うと失敗することも珍しくはありません。今回取り上げるのは、7つの相続対策の失敗例。その相続対策の何がいけなかったのか、どうすれば失敗せずにすんだのか、見ていきます。

事例②:遺留分の侵害で遺族の関係が悪化した

【事例】

Bさんは、市販の書籍などを参考に遺言書(自筆証書遺言)を作成しました。数年後、Bさんが死亡して遺族が遺言書を確認したところ、内容は「遺産はすべて長男に相続させる」というものでした。

 

相続人は長男、長女、次男の3人ですが、何ももらえない長女と次男は「遺留分侵害額請求」で長男に遺産の一部を支払うよう要求しました。

 

このことをきっかけに、仲が良かった兄弟の関係が悪化してしまいました。

 

【事例②】ではBさんが不公平な内容の遺言を残したことで、仲が良かった遺族の関係が悪化してしまいました。Bさんの遺言のように特定の相続人が多くの遺産を相続すると、他の相続人は遺産をまったくもらえないか、わずかしかもらえません。このことを遺留分の侵害といいます。

 

遺留分とは、相続人(故人の兄弟姉妹を除く)に最低限保障された相続分のことです。遺留分を侵害された相続人は、遺産を多くもらった相続人に遺産の一部を支払うよう要求することができます。これを遺留分侵害額請求といいます。

 

一部の相続人の遺留分を侵害する不公平な内容の遺言書を書くと、わざわざ相続人どうしでもめるきっかけをつくることになりかねません。

 

【遺言による遺産の分配で失敗しないために】

・各相続人の遺留分を侵害しないように遺産の分配を考えましょう。

・やむをえず遺留分を侵害することになる場合は、遺言の付言事項で事情を説明しましょう。

 

遺留分をめぐるトラブルを防ぐためには、各相続人の遺留分を侵害しないように遺産の分配を考えましょう。

 

ただし、事業や農地を承継する場合では1人の後継者に遺産の大半を継がせることもあります。このようにやむをえず遺留分を侵害することになる場合は、遺言書の付言事項で事情を丁寧に説明するとよいでしょう。

 

付言事項とは、法的な効力はないものの遺言書に書くことができる事項です。遺産分割の方法を定めた理由のほか、葬儀・埋葬についての指示、家族に対する感謝の気持ちなどを書くことが一般的です。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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