臨時従業員の制度「利用実態との乖離」が問題に
オーストラリアの法制度上、臨時従業員は、もともとは一時的な人手不足に対応するために利用されること(たとえば、収穫期の農作業、大規模イベントの手伝いなど)が予定されていたのですが、実際には継続的な業務のために長期間にわたって利用されることが一般化しています。
雇用の実態からすれば、本来であれば正社員として雇用すべきところを、雇用が調整しやすいように(解雇がしやすいように)臨時従業員として雇用するという事態が生じていました。
この臨時従業員の利用について、最近になってオーストラリアの裁判所が実態を制度に合わせるように求める判決が続いたことで、状況が大きく変化します。
2016年以降、相次いでオーストラリアの連邦裁判所の下級審で「規則的かつ予測可能なシフトで継続的に勤務している臨時従業員(いわゆるRegular Casual Employee)は正社員とみなす」という判決が出されたため、企業が混乱することになったのです。そしてその後、2020年11月には、臨時従業員の該当性に関する紛争が連邦最高裁判所(High Courtと呼ばれています)で争われるまでになりました。
鈴木 正俊
グリーン・ビュー法律事務所
T&K法律事務所 外国駐在弁護士
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