オーストラリア不動産投資の最新事情「居住用不動産」購入の注意点【現地弁護士が詳述】

日本に居住する日本人がオーストラリアの不動産を購入することは、オーストラリアの法律上可能です。しかし「居住用不動産(一戸建て、タウンハウス、マンション等)」と「商業用不動産(オフィス、店舗、ホテル等)」で、購入できる不動産の種類(新築・中古、地域など)や、法律・税務上の手続・負担が大きく異なる点に注意が必要です。本記事では、主に居住用不動産について見ていきます。日本と豪州の弁護士資格を保有し、豪州で10年の弁護士キャリアを持つ、鈴木正俊氏が解説します。

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購入時、外国人は「外国投資審議委員会」の許可が必要

「日本在住の日本人(オーストラリア永住者ではない外国人)」(本記事において以下「外国人」といいます)がオーストラリアの居住用不動産を購入する場合、外国投資審議委員会(Foreign Investment Review Board:FIRB)の許可が必要になります。

 

オーストラリアの連邦政府は、オーストラリアの居住用不動産に海外からの投資資金が流入して住宅価格が高騰し、実需として住宅を必要とするオーストラリア居住者の購入が困難な価格にならないよう配慮しています。そのため、外国人によるオーストラリアの居住用不動産の購入について、FIRBは基本的に許可を出しません。

 

しかし、例外もあります。外国人が新規に開発された居住用不動産を購入する場合には、FIRBは許可を出してくれます。新規に開発された居住用不動産がオーストラリア住宅供給量を増加させることになり、オーストラリアの住宅政策に資するという理由によります。

 

したがって、外国人は、オーストラリアの居住用不動産について、新規に開発された物件に限り、FIRBの許可を得て購入することができます。これは土地付きの戸建てでもマンションでも同じです。

 

ただし、新築であっても、中古物件を取り壊して新築したものは、外国人は購入できません(FIRBの許可は出ません)。FIRBが許可するのは「住宅供給量の増加」が理由であり、1戸の中古の戸建てが1戸の新しい戸建てになっただけでは、住宅の供給量は増えていないと考えられるからです。

 

日本の会社またはオーストラリアの会社を通じてオーストラリアの不動産を購入する場合でも、会社の株主が外国人であれば、外国人による購入と同じ規制に服することになり、FIRBの許可が必要になります。

 

ただし、外国人が購入した不動産を売却する際には、FIRBの許可は不要です。オーストラリア居住者と同様に売却することができます。

外国人が購入できる「物件の種類」とは?

オーストラリアの居住用不動産のマーケットは、中古物件が大半を占めています。しかし、上記のとおり外国人は新築物件しか購入できないため、購入できる物件の種類は限られてしまいます。

 

新築物件の多くは住宅開発が盛んな地域で建築されており、シドニー、メルボルン、ブリスベンといった大都市であれば、購入できる物件は基本的に「都心(CBD)から相当離れた場所(CBDから30~40キロ)の戸建て・タウンハウス」、もしくは「都心(CBD)またはその近郊(CBDから10キロ圏内)のマンション」というケースが多くなります。

 

オーストラリアでは、日本の高度成長期のように都市圏が拡大しており、拡大に伴って都市圏の周縁部分に開発された新興住宅地が前者のCBDから30~40キロ離れた場所の戸建て・タウンハウスになります。同時に、都心部またはその近郊において、低層建築物が高層建築物に建て直される土地の高度利用化が進められており、そのような場所で建築された高層マンションが、後者のCBDまたはその近郊のマンションになります。

 

他方で、例えば、都心部から5キロ程度離れた評価の安定した古くからの高級住宅地域で戸建てを購入しようとしても、そのような地域はすでに開発が終わっており、新築物件(特に新築の戸建て)の供給はほとんどありません。したがって、外国人は新築物件しか購入できないという制限のために、物件を購入できる地域についても実質的に制限を受けていることになります。

 

例外として、Integrated Tourism Resort(ITR)という指定された一定のリゾート地域では、中古の居住用不動産であっても外国人がFIRBの許可を取得せずに購入できることになっています。ITRは都心から離れたリゾート地域が多いのですが、ゴールドコーストのSanctuary Cove、Hope Island ResortまたはRoyal Pines ResortといったITRは、ゴールドコースト都心部にも近く、周囲には住宅地が広がっており、付近に学校・スーパー・病院といったインフラも整っているため、そのようなITRの居住用不動産(戸建てやマンションもあります)であれば、通常の生活拠点として使用することもできます。

 

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グリーン・ビュー法律事務所
T&K法律事務所 外国駐在弁護士
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豪州連邦弁護士 

日本の弁護士として4年間、日本の法律事務所に勤務した後、オーストラリアに留学し、オーストラリアの法曹資格を取得。

現在は、オーストラリアの法律事務所に勤務し、主に日系企業のために法律サービスを提供中。

取扱分野は企業法務全般であり、特に、会社法務、企業買収(主に非上場会社の買収)、不動産(不動産開発、不動産ファイナンス、不動産・インフラ系ファンドへの投資を含む)、労働関係、資源・エネルギー、破産・管財手続、遺言・相続の分野で豊富な経験を有する。

日豪両方の弁護士資格及び実務経験に基づき、日本のクライアントに対してオーストラリアの法律を日本の法律との相違点を踏まえた上で、分かりやすく説明することができる点を強みとしている。

特に、企業買収(主に非上場会社の買収)及び不動産関連案件に関しては、自らの専門知識と経験を活かし、自らが中心となって案件アドバイス、取引契約の作成、契約交渉等を行い、案件をまとめ上げるスキルと実績を持つ。

著者紹介

連載オーストラリア在住の弁護士が解説!オーストラリアM&Aの最新事情

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