(※写真はイメージです/PIXTA)

よく話題になる「マイナス金利」や、住宅ローンを組む際の「固定金利」や「変動金利」…。私たちの周りにはたくさんの「金利」がありますが、実はあまり理解していないという人も多いのではないでしょうか。そもそも「金利」とは何か、どのような種類があるのか、それぞれどんな違いがあるのか。知っておきたい「金利」の知識を紹介します。※本連載は、大村博氏の著書『Q&Aでサクサクわかる金融の世界』(ビジネス教育出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

一般的に「金利」と言えば「名目金利」をさすが…

Q2.「金利の種類には、名目・実質金利、プライムレートなど、まだまだ沢山の種類があります。それぞれどのような金利か、ご存知ですか?」

 

⇒A. 名目金利は、一般的に表示されている金利の総称で、実質金利は、名目金利から物価上昇率を差し引くことで求められます。プライムレートとは、最優遇貸出金利のことです。

 

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<解説2>金利の種類(前項からの続き)

 

(3)名目金利と実質金利

名目金利は、預金をしたりローンを借りたりするときに適用される金利です。一般に金利というと、この名目金利を指します。

 

一方、実質金利は、インフレ率、すなわち物価上昇率を差し引いた金利です。資金を貸して使用料を貰っても、その間にインフレが進み購買力が減少すれば、受け取る金利は目減りするので、物価上昇分を差し引いたネットの金利、つまり実質金利が必要になるわけです。算式は、実質金利=名目金利-物価上昇率で表されます。

 

[図表2]比較例

 

図表2の比較例のほか、たとえば名目金利が年利1%であっても、物価上昇率が年率1%であれば、資金運用の期初と満期時で購入できるモノの量は同じなので、実質金利はゼロ%になります。このように実質的な購買力の増減をみるには、実質金利の考え方が有用です。

 

また、金利には、金融市場で取引される市場金利と、金融機関が企業や個人と取引する時に適用する対顧客適用金利があります。後者の特徴は、取引に応じて市場金利を反映することです。

 

(4)預金金利と貸出金利

金利のなかで、一番身近な金利が預金金利と貸出金利です。その特徴は、いつでも引き出せるタイプの金利は低く、期間が短いものより長いもののほうが高いことなどです。

 

一方、貸出金利の特徴は、短期資金より長期資金のほうが金利は高くなること、担保があると金利が低くなること、民間資金よりも公的資金のほうが金利が低いことなどです。

 

(5)短期プライムレートと長期プライムレート

短期プライムレートとは、銀行が最優良の企業(業績が良い、財務状況が良いなど)に貸し出す際の最優遇貸出金利(プライムレート)のうち、1年以内の短期貸し出しの金利のことで、一般に「短プラ」と略称されます。かつて短プラは、各銀行が公定歩合(後述、参照)に連動した金利をもとに、信用リスクの大きさに応じて上乗せ金利を付け加えていましたが、現在は市中金利に連動して決められています。

 

長期プライムレートとは、1年超の期間で貸し出す時のプライムレートのことで、一般に「長プラ」と略称されます。かつて長プラの水準は、長期信用銀行が発行する5年もの利付金融債の発行利率に一定の利率を上乗せして決定されていましたが、現在は金融機関が発行する5年もの普通社債の発行利率など、マーケットの資金調達レートを参考に、一定の利率を上乗せする方式で決められています。

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