父親の所有地、子がタダで借りて駐車場経営…不動産所得はだれのものか?

父親の所有地、子がタダで借りて駐車場経営…不動産所得はだれのものか?
※画像はイメージです/PIXTA

確定申告の際には、申告する人の状況の変化や制度の改正などに応じた、適切な対応が不可欠です。よくある疑問を解説します。ランドマーク税理士法人の代表税理士、清田幸弘氏が解説します。※本記事は『令和3年度 都市農家・地主の税金ガイド』(税務研究会出版局)より一部を抜粋・再編集したものです。

「父の土地を、無償で借りて駐車場経営しています」

Q

私は父の土地を無償で借りて、月極青空駐車場として今年の5月から経営を始めました。運営は私の責任で行い、利益も私が受取っています。この不動産所得については私の所得として申告をしてよいのでしょうか。

 

A

不動産の貸付による所得は原則として不動産の所有者に帰属するため、あなたの所得として申告することはできません。

 

◆解説◆

解説駐車場から生じる不動産所得はお父さんに帰属するものと考えられます。

収益の実質的な権利が誰にあるかを判定するには、収益を資産から生じるものと事業から生じるものとにわけて考えます。この事例の場合には、まず駐車場の所得が不動産所得または事業所得(または雑所得)のどちらに該当するかを確認しておく必要があります。また、資産から生じる収益を受取る人が誰であるかは、その収益を生むもととなる資産の真実の権利者が誰であるかによって判定されます。

以上のことから、駐車場を運営してその収益を受けていても、その駐車場の真実の所有者がお父さんであるため、それによる不動産所得はお父さんに帰属するものと考えられます。したがって、あなたの所得として申告することはできないことになります。

また、受取っている金額のうち運営業務にかかる費用およびあなたが設置した構築物の使用の対価を超えるものや、お父さんの所得となるべき利益をあなたが受取っていたりする場合には、お父さんに贈与を受けたとみなされる場合がありますので注意が必要です。

なお、ご自身で建物および設備等を設置し、土地の使用料だけでなく管理・サービスなどを含め、経営している要素が大きい場合にはあなたの所得となる場合もあります。

 

*不動産所得と事業所得の区分の例

●月極駐車場のように明らかに不動産の貸付けとみとめられるもの→不動産所得

●時間貸しの有料駐車場や自転車預かり業等といえるもの→事業所得(または雑所得)

 

 

清田 幸弘

ランドマーク税理士法人 代表税理士

 

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令和3年度 都市農家・地主の税金ガイド

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清田 幸弘

税務研究会出版局

農家の長男として生まれ、現在、各農協・農協連合会等で顧問税理士を勤めるかたわら、農協連合会や各農協等で多数の講演も行う著者が、自らも農業者である視点から、都市部の農家や地主の方のために「経営改善と節税、事業承継…

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