(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、東海東京調査センターの中村貴司シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)への取材レポートです。今回は、「オルタナティブ投資」の分類について見ていきます。

「オルタナティブ投資」は予測を上回るペースで拡大

世界でオルタナティブ投資が拡大している。オルタナティブ投資には、不動産やコモディティ、インフラやプライベートエクイティなどの「オルタナティブ資産」とヘッジファンドなどに代表される「オルタナティブ戦略」がある。

 

調査会社プレキン(2003年にロンドンで設立)によると、オルタナティブ資産全体のAUM(運用資産残高)は2020年6月に11.45兆ドルとなり、2019年末から6%増加。プレキンは2020年末のAUMが10.7兆ドルに達すると予測していたが、すでに予測を上回る水準で推移。このような拡大ペースを考慮し、2025年にはAUMが17.15兆ドルに達するとみており、オルタナティブ投資のさらなる拡大が期待される。

「オルタナティブ資産」の例

「オルタナティブ資産」としては、たとえば「国内外上場リート」や「現物不動産」に加え、「私募型のリートや不動産ファンド」がある。また、「プライベートエクイティ(未公開株)ファンド」には、バイアウトファンドやベンチャーキャピタルなどがある。さらに、道路、空港、太陽光、原油、金、水、森林、農地などの「インフラ」・「再生可能エネルギー」・「コモディティ・天然資源・農地」ファンドなどがある。

 

融資・保険・債券・ハイブリッド証券型などでは、「バンクローン」や「保険リンク証券」に加え、「MBS(CMBS、RMBS)」、「CoCo債」、「CDO」、「CLO」、「SIV(ストラクチャード・インベストメント・ビークル)」、「(期限付きもしくは永久含む)劣後ローンや劣後債」、「仕組み債」、「優先出資証券・優先株」などがある。

 

なお、今後は「デジタルトークン(デジタル通貨・デジタル権利証)」などもオルタナティブ資産の一種として市場で認識される機会が増えてこよう。

「債券アンコンストレインドファンド」は代替戦略?

冒頭でも述べたが、「オルタナティブ戦略」のメインは「ヘッジファンド」である。しかし、「債券アンコンストレインド(unconstrained)ファンド」は、ファンドの性質上、代替資産と代替戦略の両方に含まれるとみられる。

 

債券アンコンストレインドファンドは、ベンチマーク等の制約が少なく、自由度の高い債券運用が可能(絶対収益追求型が多い)で、国債、投資適格債、ハイイールド債、新興国債券等へ幅広く投資を行うことができるのが特徴だ。

 

ロング中心で積極的なレバレッジ型やショート型はあまり見られないため、一般的にはオルタナティブ資産の区分となろう。とはいえ、ヘッジファンドとの明確な差がつきにくいファンドもあり、一部はオルタナティブ戦略として区分される可能性がある。

 

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このレポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断の最終決定は、お客様自身の判断でなさるようお願いいたします。このレポートは、信頼できると考えられる情報に基づいて作成されていますが、東海東京調査センターおよび東海東京証券は、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。なお、このレポートに記載された意見は、作成日における判断です。

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