(※写真はイメージです/PIXTA)

名門公立小学校の周辺には、通学区の住所を確保するための賃貸需要があります。以前はワンルームマンションを借りて住民票だけ移す方法が主流でしたが、最近は学校側の監視が厳しくなり、居住実績がないと入学が認められなかったケースも出ています。都心4区の「通学区マンション投資」について解説します。

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    通学区内の「賃貸住宅争奪戦」がはじまった!

     

    ●千代田区の「住所獲得」が激しいワケ

     

    子どもを私立小学校へ入学させたい場合は、さまざまな習い事をさせ、お受験スクールへ通わせるなど、子ども本人と両親の努力が必要ですが、名門公立小学校を目指す場合は、通学区内の「住所」を得るだけで済みます。要は引っ越しをすれば入学権利を確保できるということです。

     

    各エリアの通学区内への引っ越しラッシュは入学年の前年秋からはじまり、入学直前の3月頃まで続きます。4月上旬(入学式前)までに引っ越しを済ませれば入学権利が得られますが、余裕を持って入学1年前から物件探しをはじめ、よい物件が見つかればすぐに契約するという人も少なくありません。通学区内にある不動産店の話では「まだ子どもがよちよち歩きのうちから内見を重ねて、数年かけて希望物件を絞り込んで決める人もいる」とのことです。

     

    「引っ越しすれば済む」とはいうものの、エリアによってはそれも困難な場合があります。注意すべきは千代田区の公立小学校入学を目指す場合です。理由は2つあります。1つは、新入学生(1年生)の定員数です。

     

    千代田区:8校・547人

    中央区:16校・1,467人

    港区:18校・1,820人

    文京区:20校・1,820人

     

    上記の通り、他の3区と比較して極端に少ないことが分かります。

     

    もう1つの理由は、ファミリータイプ(70㎡台)賃貸マンションの入居者募集戸数です。

     

    千代田区:21戸

    中央区:82戸

    港区:173戸

    文京区:50戸

    (※2021年6月現在、レインズ調べ)

     

    こちらも、ほかの3区と比較して1~4割程度の戸数しかありません。千代田区は、新築マンションの供給戸数も他区と比べて非常に少なく、一戸建て住宅販売などほぼ皆無です。不動産業界においては、千代田区内で新規分譲が開始されれば「即日完売」が常識になっているほどです。

     

    それだけ千代田区内の不動産は希少価値があり、築40年以上の古いマンションでさえも坪単価300万円以上の高価格で取引される所以なのです。

     

    ●港区と中央区は「小学校選択制」

     

    千代田区と文京区については、余程の理由がない限り越境入学は許可されませんが、港区と中央区においては、通学区指定校以外の小学校が選べる「選択制」が導入されています。

     

    中央区の場合は、施設に余裕がある5校(泰明小学校を含む)から選ぶことができます。港区は、教育方針に特色がある隣接2~3校(居住エリアによっては白金小学校・青南小学校を含む)から選択が可能です。

     

    中央区と港区に限っては通学区以外からでも人気の公立小学校に入学できるチャンスがあるので、より広い範囲で物件探しができそうです。

     

    しかしそこにも落とし穴があり、通学区外からの越境希望者が予定人数をオーバーすれば抽選となり、抽選から漏れれば本来の通学区指定校へ通わざるをえません。また、通学区内の児童数が定員に達することが明らかな年度については、ほかの通学区からの受け入れを停止する可能性もあります。

     

    ●10年未満で転居するケースが多い

     

    国税調査によると、中学受験に強い4区における居住年数10年以上の人口比率は極めて低く(千代田区19%、中央区21%、港区19%、文京区30%)、10年未満の割合(千代田区34%、中央区40%、港区29%、文京区38%)を大きく下回っています。永住者が多ければ、人口が年々累積されていくはずなのにパーセンテージが低いということは、「転出者が多い」証拠です。

     

    仕事の都合による転出はもちろんあるでしょうが、通学区居住のため一時的に転入したケースも多いのかも知れません。

    「通学区マンション投資」に適した物件の条件

     

    大きな需要がある「通学区」のマンションですが、居住年数10年以上の人口比率が低い点を鑑みると、投資先としては一抹の不安も募るでしょう。そこで、そうした地域での投資を検討する際に抑えておきたいポイントをまとめますので、参考にしてみてください。

     

    ●ファミリータイプを選ぶ

     

    最低でも50㎡以上のファミリータイプを選ぶことです。以前はワンルームを借りて、子どもの住民票だけを移動して入学させたケースもあったようですが、現在はチェックが厳しくなり、実際に家族が居住しているかどうかの確認が行われる可能性があります。

     

    ●築古物件でもOK

     

    とくに千代田区は供給戸数が限られているため、外観にある程度の古さが感じられても、室内リフォームを施せば賃貸需要は十分に見込めます。ただし、旧耐震基準(1980年以前の建築確認)建物の場合は、管理組合による耐震補強工事済みの物件が望ましいところです。

     

    ●確実に通学区内に立地していること

     

    千代田区や文京区では通学区指定校以外の小学校へは入学できませんので、通学区リストをしっかり確認して間違いのない物件選びをしましょう。また、港区や中央区であれば小学校選択制がありますが、入学予定児童数の状況で選択校が変更になる可能性もありますので、こちらも人気校の指定学区を守って物件探しを行った方が賢明です。

     

     

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    ※本記事は、「ライフプランnavi」に掲載されたコラムを転載・再編集したものです。

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