(※画像はイメージです/PIXTA)

米ドル/円は7月、一時111円台後半まで上昇したものの、月末には109円台まで反落しました。今回は、FX開始直後から第一線で活動している、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が、過去3回の「金利の大幅低下」データから、8月の米ドル/円相場を考察します。

「8/3~8/9のFX投資戦略」のポイント

[ポイント]​

・7月の米ドル/円は反落。チャート的には1月から続いてきた米ドル高・円安トレンドが崩れ、下落リスクが試されやすくなっている。
・米ドル/円の下落は米金利次第か。その米金利は、株高、リスクオン続くなかで低下、「謎の米金利低下」が続いた。その意味では米ドル/円の下落余地は、「謎の米金利低下」の行方次第か

111円台まで上昇も転落…7月の米ドル/円を振り返る

7月の米ドル/円について振り返ってみましょう。米ドル/円は年初来高値を更新し、7月初めには一気に111円台後半まで上昇しました(図表1参照)。ただその後は反落に転じ、結局月末も109円台での引けとなりました。

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表1]米ドル/円の推移 (2021年7月) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

こういったなかで、米ドル/円は今年1月以降の安値と安値を結んだトレンドラインを大きく割り込むところとなりました(図表2参照)。つまり、チャート的には1月から続いてきた米ドル高・円安のトレンドが崩れた形となったのです。これにより米ドル/円の下落リスクが試されやすい状況になっています。では、米ドル/円はどこまで下落するのでしょうか。

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表2]米ドル/円の推移 (2021年1月~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

7月の米ドル/円の動きを比較的うまく説明できるのは日米10年債利回り差です(図表3参照)。この関係がこの先も続くなら、米ドル/円がどこまで下落するかは、米金利を主役とした日米金利差が目安になるでしょう。

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表3]米ドル/円と日米金利差 (2021年7月) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

日米金利差の主役である米金利、米10年債利回りは、今年3月には1.7%を大きく上回るまで急騰したものの、7月には一時1.1%台まで低下しました(図表4参照)。米10年債利回りは今年2月以来、約5ヵ月ぶりの水準まで低下したわけです。では、米金利はさらに低下し、金利差米ドル優位の縮小を通じて、米ドル/円も続落するのでしょうか。

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表4]米10年債利回りの推移 (2021年1月~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

上述のように、米10年債利回りが一時1.1%台まで低下するなかで、90日MA(移動平均線)からのかい離率はマイナス20%以上に拡大しました(図表5参照)。これは、経験的には米金利の「下がり過ぎ」懸念が強くなってきた可能性を示すものです。

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表5]米10年債利回りの90日MAからのかい離率 (2010年~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

ただ、2011年9月、2019年8月、2020年3月の3回、このかい離率がさらにマイナス30%以上に拡大しています。最近の米10年債利回りは「下がり過ぎ」懸念が強くなっているものの、これら3回のようにさらに「下がり過ぎ」拡大に向かう可能性はあるでしょうか。

 

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