中国株は大幅下落
規制強化を嫌気
■中国・香港株式市場が大きく調整しています。先週金曜日(7月23日)から7月28日までの3営業日の下落率は、中国本土市場の上海総合指数が▲5.3%、香港ハンセン指数は▲6.8%となりました。これは中国当局の規制強化がIT(情報技術)プラットフォーム企業から教育産業と、幅広い産業に広がっているためです。規制強化の対象となった企業の株価は大きく下落しましたが、株式市場全体に規制強化を嫌気するムードが広がっています。
中国当局の企業への規制強化が強まっている
■中国政府の企業活動への介入は昨年11月の、フィンテック企業アント・グループの上海・香港上場の延期以降、目立ってきています。今年に入って、テクノロジー企業に対する独占禁止、国内企業による海外上場、個人情報セキュリティ等の規制強化の方針が示されてきました。そういった中、先週末に小中学生向け学習塾の非営利団体化を柱とした規制策を発表しました。
■中国政府が行っている規制強化は、中国で整備が遅れていた新しい成長分野でのルール整備・導入の意味合いが強く、中国経済の中長期的な発展の観点では必要な手当てだとの考え方もできます。2022年に共産党大会を控える習近平指導部は、長期政権に向けて国民の支持を得る強いインセンティブがあると考えられます。一方、株式投資家の観点では、投資先の業績や株価は政策次第となり、少なくとも当面は次の規制強化について疑心暗鬼にならざるを得ないという側面があります。
中長期的には魅力ある市場
■中国は世界第二位の経済大国であり、2030年までには米国を抜いて世界第一位になるとの見方が増えています。人口も14億人と圧倒的な規模で、チャレンジ精神旺盛な民間企業が成長する余地は極めて大きく、かつ、国の後押しもあり技術開発も加速して行くと見られます。こうした中、第14次5ヵ年計画を受けた、国内消費の高度化や環境問題の解決に関連する企業などが注目されます。また、株式や債券などの外国投資家への市場開放がこれから本格化すると見込まれる等、中長期的には魅力度の高い市場と考えられます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国株は規制強化で大幅調整』を参照)。
(2021年7月30日)
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