Aのラーメン屋は…?判明した借用書の致命的ミス
「え…?」
もちろん評判は気になっていたので、Aの経営するラーメン屋の口コミ情報はよくチェックしていたのですが、平成29年8月にそのラーメン屋が閉店になった記事が掲載されていたのです。寝耳に水でした。
あわてて共通の知人何人かに連絡をとって尋ねたものの、誰もAと連絡がとれないとのことでした。今まで住んでいたところから姿を消し、いわば行方不明になっていました。
2 保証人には簡単には請求できない!?
私は本当に心配になり、どうすればいいか聞きたくて弁護士に相談に行きました。特に、Aが行方不明になった場合でも、保証人である兄Bからお金をもらえるのか不安だったからです。
「Aさんが行方不明であっても、たとえ死亡していても、お兄さんの保証人としての効果は消えません。ですが…」
「ですが、なんでしょうか?」
「この『保証人』という記載では、お兄さんには簡単には請求できないのですよ。『連帯保証人』と書いてもらうべきだったのです。連帯保証ではない単純な保証の場合は、先にAさんに請求をするか、行方不明であることを証明しなければいけません。仮にうまくいってお兄さんに請求したとしても、『Aには財産があるはずだ。まずAに強制執行をしてくれ』と反論される可能性もあります」
私は愕然としました。
しかも、もし兄Bに預金等の財産がない場合には、裁判をしてBの家を強制競売させる必要があるというのです。私が軽々しくAに貸してしまったこともあり、そこまでするべきなのか迷いつつ、途方にくれています。
3 保証とは
保証契約とは、主たる債務の履行を担保とすることを目的として、債権者と保証人との間で締結する契約です。主たる債務、すなわち大元の債務があることを前提に、その支払いがない場合に保証人が保証債務を支払う責任を負うことを内容とします。
本件ではAが主たる債務者、兄Bが保証人ということになります。